ライフ

100年超で現役も 全国「超ご長寿観光列車」の世界

高松琴平電鉄(ことでん)のレトロ車両

 2021年に引退する高松琴平電鉄(ことでん)のレトロ車両は1925年製で、四国最古の現役電車だ。しかし、引退せずこれからも活躍を続ける「長寿観光列車」は、まだまだ健在だ。本線用蒸気機関車として最長寿の車両は、JR九州が1988年に復活させた58654だ。客車は1970年代に製造された車両をレトロ風に改造したものだが、牽引機関車の「ハチロク」は大正レトロの古い1922年製。100歳を目前にした今も「SL人吉」として熊本・人吉間を元気に走っている。

SL人吉 写真/野田隆

 1976年から運行する大井川鐵道の「かわね路号」は、1930~35年に開発された蒸気機関車が戦前から戦後にかけて製造された客車を引く。蒸気機関車全盛時代に使用された客車がほとんど改造されることなく使われており、往年の汽車の雰囲気を存分に味わえる。昭和を舞台にした映像作品のロケーションとして使われることも多い車両だ。

SLかわね路号 写真/野田隆

 路面電車にも「長寿観光列車」がある。1942年から運行する広島電鉄650形電車は、原爆投下を経ても走り続ける被爆車両として知られる。広く平和学習に利用され、修学旅行生が乗ることも多い。被爆70年の2015年から、原爆投下前と同じ色に塗装された「653号」が8月6日前後に数日間特別運行している。

 函館の路面電車「箱館ハイカラ號」はなんと明治時代の1910年からある車両だ。旅客車として走った後、1937年には除雪車に改造され、1992年まで使用された。そして翌1993年に再び旅客車に改造され、今も函館の街を走っている。人生100年時代を迎える中、電車もまた100年現役で駆け抜けている。

函館ハイカラ號 写真/野田隆

 双子の100歳姉妹・きんさんぎんさんは「きんは100シャア! ぎんも100シャア!」とCMで元気に叫んでいたが、電車にもそんな時代がやってきた。

取材・文■戸田梨恵

※週刊ポスト2019年8月30日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

2020年に引退した元プロレスラーの中西学さん
《病気とかじゃないですよ》現役当時から体重45キロ減、中西学さんが明かした激ヤセの理由「今も痺れるときはあります」頚椎損傷の大ケガから14年の後悔
NEWSポストセブン
政界の”オシャレ番長”・麻生太郎氏(時事通信フォト)
「曲がった口角に合わせてネクタイもずらす」政界のおしゃれ番長・麻生太郎のファッションに隠された“知られざる工夫” 《米紙では“ギャングスタイル”とも》
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
《ビザ取り消し騒動も》イギリス出身の金髪美女インフルエンサー(26)が次に狙うオーストラリアでの“最もクレイジーな乱倫パーティー”
NEWSポストセブン
東京都慰霊堂を初めて訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年10月23日、撮影/JMPA)
《母娘の追悼ファッション》皇后雅子さまは“縦ライン”を意識したコーデ、愛子さまは丸みのあるアイテムでフェミニンに
NEWSポストセブン
将棋界で「中年の星」と呼ばれた棋士・青野照市九段
「その日一日負けが込んでも、最後の一局は必ず勝て」将棋の世界で50年生きた“中年の星”青野照市九段が語る「負け続けない人の思考法」
NEWSポストセブン
2023年に結婚を発表したきゃりーぱみゅぱみゅと葉山奨之
「傍聴席にピンク髪に“だる着”姿で現れて…」きゃりーぱみゅぱみゅ(32)が法廷で見せていた“ファッションモンスター”としての気遣い
NEWSポストセブン
「鳥型サブレー大図鑑」というWebサイトで発信を続ける高橋和也さん
【集めた数は3468種類】全国から「鳥型のサブレー」だけを集める男性が明かした収集のきっかけとなった“一枚”
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
松田聖子のモノマネ第一人者・Seiko
《ステージ4の大腸がんで余命3か月宣告》松田聖子のものまねタレント・Seikoが明かした“がん治療の苦しみ”と“生きる希望” 感激した本家からの「言葉」
NEWSポストセブン
“ムッシュ”こと坂井宏行さんにインタビュー(時事通信フォト)
《僕が店を辞めたいわけじゃない》『料理の鉄人』フレンチの坂井宏行が明かした人気レストラン「ラ・ロシェル南青山」の閉店理由、12月末に26年の歴史に幕
NEWSポストセブン
『酒のツマミになる話』に出演する大悟(時事通信フォト)
『酒のツマミになる話』が急遽差し替え、千鳥・大悟の“ハロウィンコスプレ”にフジ幹部が「局の事情を鑑みて…」《放送直前に混乱》
NEWSポストセブン
『週刊文春』によって密会が報じられた、バレーボール男子日本代表・高橋藍と人気セクシー女優・河北彩伽(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
「近いところから話が漏れたんじゃ…」バレー男子・高橋藍「本命交際」報道で本人が気にする“ほかの女性”との密会写真
NEWSポストセブン