神奈川県小田原市に新設されたアマゾンジャパンの物流拠点(写真/共同通信社)
派遣会社の担当者が口述する通りに書かされた田所の手書きの誓約書には、「家族とのトラブルによる精神的なストレスと体調不良で、病院に通っていますが、トラブルが解決しないで、ずるずると自分を甘やかせてしまっていました」や「自分が出勤するといった以上、必ず出勤し、欠勤する場合には、必ず前日連絡します」とある。
「必ず前日連絡します」の箇所には、担当者の文字で、「前日が休みの場合は、15時までに連絡。勤務の場合は、退勤の18時に必ず伝える」と書き加えてある。さらに、「一・就業するにあたり、10月27日~11月10日の期間において、遅刻、早退、欠勤を致しません。二・上記が守られなかった場合、自身より退職いたします」とある。
田所は誓約書に書かれた期間を、シフト表通りに勤務した。しかし、12月になり再び体調を崩した彼女は、当日に電話連絡を入れて欠勤した。すると数日後、先の担当者から、「今日づけで退職してもらいますので、退職届を書きにきてください」という電話がかかってきた。
まだ働く意欲があることを意思表示する田所に対し、担当者はこう話している。
「何のために前回、面談したんだっけ。身体不調で休むともう後がないよね、ということだよね。要は、口頭じゃなく、書面で約束したんだよね。そこのところは、どう考えているの?」
田所が、契約書に書いてある期間中は休まず働いていたにもかかわらず、12月に入って休んだことで、即退職となることは法的に通用するのか、と訊くと、
「通用するよ。誓約書に自分で何て書いてあるの? 欠勤や早退について、自分で守れなかったら、自分で退職するって書いてあるよね。今までは、担当の僕が田所さんをかばってきたところもあるんだけれど、これ以上は会社でも難しいと判断したんだ。というか、逆に、どうしてまだ働きたいって、田所さんが言えるのかが、僕には不思議だよ」