スポーツ

「憧れのゲーム」にも登場、次々夢を叶える八村塁の挫折体験

『NBA2K20』の発表イベント後、インタビューに応じた八村塁

 中国で開催されているFIBAバスケットボールW杯では、残念ながら一時リーグ敗退となった日本代表のエース・八村塁(ワシントン・ウィザーズ)。10月に開幕するNBAでロースター入りが期待されているが、ゲームの世界では一足早く「夢の舞台」に立つことになった。6日発売のNBA公認のバスケットボールゲーム『NBA 2K20』に、八村自身がキャラクターとして登場する。

 同ゲームの日本オフィシャルアンバサダーに就任した八村は、8月15日に行なわれた就任発表イベントで、「(日本人初の1巡目指名で)ドラフトされた時と同じぐらい嬉しい」と笑顔でコメントした。

『NBA 2K』は、1999年に発売され、全世界で累計9000万本を売り上げている人気シリーズ。新旧含めたNBA選手が登録されている今回の新作には、レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)やステフィン・カリー(ゴールデンステート・ウォーリアーズ)といったリーグトップクラスのスター選手に混じって、今季ウィザーズに加入した八村自身も登場する。

 発表イベントで八村は「バスケを始めた頃からやっていたゲーム。キャラクターになれたらいいなと思っていた」と満面の笑みで語った。その場で初公開されたゲーム内に登場する八村の動画では、6月に契約したばかりの「エア・ジョーダン」のシューズはもちろん、シュートフォームやガッツポーズの動作まで忠実に再現。その精度を目にした八村も「不思議な感じがする」という驚くほどだった。

発表イベントでは、『NBA 2K20』に登場する自身を見て満面の笑み

 次々と「夢」を現実のものにしていく八村だが、発表イベント後のインタビューでは、成功に至るまでの“挫折体験”について問われ、こう振り返った。

「これまでW杯(年代別の世界選手権)に行ったり、アジア大会に行ったり、ジョーダンブランドクラシック(世界のトップ高校生が集うエキシビションマッチ)に行ったり、NBAキャンプに行ったりしてきました。そういう場に出場すると(世界に比べて自分は)まだまだ足りないなと感じ、もっと練習を頑張ろうと励みになった。世界はすごいなと実感して、(自分はまだ)ダメだなと思ったことは何回もあります」

 5年前、U-17日本代表として迎えたアメリカとの対戦では八村1人で25点を叩き出す奮闘を見せたが、試合は38対122と大敗。ただ、八村はこの大会で得点王となったことで米NCAAの強豪校からオファーがかかるようになる。

 その年末のウィンターカップで、2年生ながら明成高校(宮城)の中心選手として2連覇を果たす頃には「夢はNBAプレーヤーになって五輪で日本代表として米国代表を倒すこと」と、現在につながる大きな目標を公言するまでに。八村はアメリカ代表相手に大敗を喫した当時をこう振り返った。

「やっぱりアメリカという世界のトップの国とああいうふうにゲームができるというのはなかなかない機会だったから、すごい対戦を楽しみにしていました。やってみると本当にすごくて、負けて悔しかったんですけれど、言葉では言えないような“得たもの”があった。これからが楽しみだなあと思えてきたのです。今考えると、それが今につながるモチベーションになった」

 2014年のU-17世界選手権で対戦したアメリカ代表の選手のなかには、ジェイソン・テイタム(ボストン・セルティックス)のように、すでにNBAでチームの主力として活躍する選手もいる。そして八村も今年、ついにNBAの大舞台で勝負するチャンスを手にした。

「そうですね。僕も彼ら以上のプレーヤーになれると信じてやってきた。(対戦が)楽しみです」

『NBA 2K20』の発表イベントでは日本の中学生とゲームで対戦。中学生が選択したウィザーズの初期設定では八村はベンチメンバー。「俺スタメンじゃないの!?」とおどけてみせた八村だったが、10月のプレシーズンゲームで実力を発揮し、同23日(現地、日本時間24日)の開幕戦(対ダラス・マーベリックス)では念願のスタメン入りを果たせるか──。

■撮影/村上タケシ

関連キーワード

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン