──厳しい舞台女優の世界にも挑戦され、今後は映画やテレビでどんな役がきてもこなせる自信がついたのではないですか?

真行寺:演技力がどこまで磨かれたかは分かりませんが、日本の映画やテレビ、舞台でも「美術」の分野にスポットを当てる演出家や監督さんが少なく、自分の中でフラストレーションが溜まっていた面があったので、クセックでの経験はとても貴重なものでした。

 じつは私は小さいころから美術が大好きで、「絵描き」になりたかったんです。もっともバレエを習っていたこともあって違うレールが敷かれて今に至るのですが……。

 女優になった後も、『シビラの四季』の発売などをきっかけに、自分の手で何かをクリエイトする活動も続けたいと人知れずいろいろなこともしてきた中で、自分のルーツを紐解いてみると、資生堂のCMデビューから女優業でも常に意識してきた「美」が自分の原点であることに気付きました。

──2016年には化粧品の開発や販売を行うメゾンコスメティック「うつくしく」を創業しました。

真行寺:16歳で資生堂のCMに出てから今日に至るまで、いろんな美容家の方々から手ほどきを受けてきましたし、今まで自分が培ってきたあらゆる「美」のノウハウを120%活かして、今度は自分からメッセージを発信して社会に貢献していきたいと思ったんです。その実現のため、化粧品会社というよりは美をお売りする企業として「うつくしく」を立ち上げました。

2017年より販売している化粧品(オールインワンジェルクリームDIOTIMA)

2017年より販売している化粧品(オールインワンジェルクリームDIOTIMA)

──化粧品はオールインワンジェルのブランド『DIOTIMA』シリーズを3商品販売していますが、共通するコンセプトはありますか?

真行寺:私の美容理念、美のフィロソフィーとして、やはり“自然”を強く打ち出していきたいという思いがあります。

 私はペスクタリアン(ゆるい菜食主義)なのですが、自分の企画した化粧品にも動物性のものを使わず、植物性の成分をふんだんに使用しています。桜や撫子といった花や、果実や蜜を使ったものです。ただ、それだけだと使い勝手が悪い部分があるので、そこはOEMメーカーさんと一緒に最先端技術と融合させることによって、より自然を生かす商品になっています。

──9月に還暦を迎える真行寺さんですが、化粧品販売を通じて、真行寺さんの「美」に対するフィロソフィーがたくさんの女性に伝わるといいですね。

真行寺:化粧品のブランドコンセプトは、「半世紀生きた女性の新生」です。いま、令和を迎えても、どうも未来が描けず、閉そく感のある時代に皆が生きているような感じがありますよね。そんな中、美容やお化粧は些細なことかもしれませんが、それを通して日本の、ひいては世界中の女性たちを、より美しくハッピーにしたいという願いが込められています。

間もなく還暦を迎える真行寺君枝(撮影/内海裕之)

間もなく還暦を迎える真行寺君枝(撮影/内海裕之)

【プロフィール】しんぎょうじ・きみえ/1959年9月24日、東京都生まれ。1976年、資生堂・秋のキャンペーン「ゆれる、まなざし」でモデルデビュー。1979年『沿線地図』(TBSドラマ)で女優デビューも果たし、その後は数々のテレビドラマや映画、舞台に出演。2016年には化粧品を開発・販売する会社「うつくしく」を創業。現在、オールインワンジェルクリームの新ブランド『DIOTIMA』シリーズ3商品を販売中。9月7日には『ショップチャンネル』(AM11:00~)に登場し、自ら化粧品ブランドの紹介と販売を行う予定。

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