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VRで東京五輪観戦の可能性 最前席より臨場感ある体験

VR観戦画面。ピッチ全体を確認しながら、スタジアム最前列よりもピッチそばから臨場感たっぷりの映像が楽しめる

VR観戦画面。ピッチ全体を確認しながら、スタジアム最前列よりもピッチそばから臨場感たっぷりの映像が楽しめる

 日本国内では、特に最近、スポーツイベントでVRを試験的に使う例が増えてきた。例えば8月末に開催された、バスケットボール日本代表国際試合 「International Basketball Games 2019」の会場であるさいたまスーパーアリーナ内で、VRを使ったデモも行われている。「席より近いコートの間近でプレイを楽しむ」デモが提供されたのだ。

 数は少ないが、スマホで手軽に自宅から楽しむ方法もある。無料のスマホアプリをダウンロードし、家電量販店で数百円程度で売られている「簡易HMD」を組み合わせるだけで視聴できる。例えば「LiVR」というアプリでは、テニス・全豪オープン決勝戦・大坂なおみ対クビトバ戦を無料体験できる他、福岡ソフトバンクホークス公式戦のヤフオクドーム開催試合も楽しめる。ただしこちらは月額980円、もしくは一試合ごとに216円と有料である。

 ただ、スマホでの視聴はかなり「簡易的」なもので、お試し版のようなもの。本来のVR体験に比べると快適でなく、画質も悪い。一試合まるごと見るのはかなり厳しいものだ。

 本来VRは「ヘッドマウント・ディスプレイ(HMD)」と呼ばれる専用機器を使うものだ。前出のサッカーの例や、「International Basketball Games 2019」では、VR専用のHMDが使われている。専用HMDであれば画質もそれなりに良く、酔いやすさや見づらさもない。

 いまはまだ実験的な配信が多く、大きな収益が生まれるビジネスには育っていないが、サッカーや野球、ボクシングなど、複数のスポーツでVR配信が行われている。大きなイベントで採用されれば、認知度は一気に高まるだろう。

◆将来が期待される「AR」の活用

 視界全体を映像に置き換えるVRに対し、現在肉眼でみている世界の中に「CGで情報を加える」のが、「AR」だ。拡張現実、と訳されるが、情報を追加して現実を拡張するわけで、イメージはわかりやすいのではないか。

 ARでは、シースルー型のディスプレイを使った「スマートグラス」を使うことが多い。スマートフォンのカメラを使って映像を取り込み、そこにCGを加えて、「現実にCGが重なっている」映像にする場合も多い。そうして、実際に見ている映像に情報を付け加えるのだ。実際にはそこにいないキャラクターを現実世界に立たせたり、そこにある物体の情報を物体の上に出す……といった使い方が考えられる。

 スポーツでのAR活用は、なんといっても、スコアや選手の情報表示に尽きる。スタジアムで実際にプレイを見ている時には、テレビ放送と違い、試合の細かな情報は表示されていない。かといって、スコアボードをいちいち見るのは面倒なものだ。ARの場合には、自分の視界の中にスコアなどの情報を、実際に見ているプレイ状況と重ねて見ることができる。ARは現状スマホのカメラを使ったものが主流で、あまり使い勝手が良くない。だが、2019年後半から、実際のメガネに似た形のAR対応スマートグラスも出始める。2020年から2023年にかけて製品化ラッシュがある、と予測されており、「スマホの次に注目される技術」とも言われている。

 ただ、こちらはまだ個人向けスマートグラスが製品として世に出ていないこともあり、実験的な取り組みに限られている。

 こうして考えると、スポーツにおけるVRは「スタジアムに行けない人」向けのものであり、ARは「スタジアムに行く人」向けのもの、といっていいだろう。

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