大坂なおみ一覧

【大坂なおみ】に関するニュースを集めたページです。

世界のアスリート長者番付 女性が活躍できる団体競技が少ない現実
世界のアスリート長者番付 女性が活躍できる団体競技が少ない現実
 その華麗なプレーで私たちを魅了し、世界で最も年収を稼ぐアスリートは誰か? そんな興味深いアスリート長者番付トップ50を、米経済誌『フォーブス』が5月に発表した。その上位を見ると、1位のリオネル・メッシ(サッカー/アルゼンチン)の総年収1億3000万ドルを筆頭に、2位レブロン・ジェームズ(バスケットボール/米国)、3位クリスティアーノ・ロナウド(サッカー/ポルトガル)、4位ネイマール(サッカー/ブラジル)、5位ステファン・カリー(バスケットボール/米国)と続く。ベスト10に入った選手の総年収は、それぞれ日本円換算で100億円を超えている。【表3枚】世界の壁は高い… 世界のアスリート長者番付・年収トップ10。日本女子ゴルフ、プロ野球の推定年俸ランキングも この錚々たるスター選手の顔ぶれを見ながら、スポーツマネジメント分野に詳しい、産業能率大学情報マネジメント学部兼任教員の須賀優樹さんは次のように話す。「サッカーではメッシ、ロナウド、ネイマールという3人がずば抜けていますが、サッカーの平均年収は国やリーグでかなり違うのが実情。その点で、全体的にはアメリカのプロスポーツの平均年収の高さが際立っています。 というのも、NBAのレブロン・ジェームズ、ステフィン・カリー、ケビン・デュラント(6位)、ヤニス・アデトクンボ(10位)、NFLのトム・ブレイディ(9位)あたりは、アメリカのプロスポーツリーグの大スター。つまり、アメリカのプロスポーツの方が、スポーツビジネスとして収益を稼ぐのをうまくやっている印象があります」 ちなみに、同アスリート番付の上位50人を競技別にみると、トップがバスケットボールの18人で、14人のアメリカンフットボールが続き、以下、サッカーが5人、テニスとゴルフとボクシングが各3人、自動車競技が2人、野球と総合格闘技が各1人だ。「もう1つの特徴は、サッカーやテニスなどの選手は、競技収入とは別に、広告収入などフィールド外収入がかなりの割合を占める点です。これは、ブランド的価値が本人たちにあるということ。 男性アスリートがキャリアを重ねてそれを高めるのに対し、女性アスリートは若さがセールスポイントになる傾向があり、大坂なおみ選手の成功はその典型。ただ、テニスが4大大会の優勝賞金を男女同じにするなどジェンダーギャップ解消に積極的な一方、WNBA以外に女性が活躍できる団体競技のプロリーグがあまり見当たらないのも現実なのです」(須賀さん・以下同) この番付で50位以内に入った女性は、19位で女子トップに輝いたテニスの大坂なおみと、同じくテニスで31位のセレナ・ウィリアムズ(米国)の2人。 特に大坂はスポンサーが20社以上あり、年収は米メジャーリーグ(MLB)最高のマイク・トラウト(30)(4950万ドル)を上回る。『フォーブス』誌1月発表の2021年度女性アスリート長者番付では、1位大坂、2位セレナのほか、3位にビーナス・ウィリアムズ(41)(米国/1130万ドル)、5位にガルビネ・ムグルサ(28)(スペイン/880万ドル)、8位にアシュリー・バーティ(26)(オーストラリア/690万ドル)が入り、女子テニス選手の存在が際立つ。 テニスなど個人競技での成功例はあるものの、団体競技で女性が稼ぐようになるにはまだ時間がかかるのかもしれない。取材・文/北武司※女性セブン2022年6月30日号
2022.06.23 15:15
マネーポストWEB
各界のスター選手はその活躍にふさわしい報酬を手に入れている(写真/AFLO)
大谷翔平、大坂なおみ、松山英樹…超一流日本人アスリートの推定年収
 世界中が固唾をのんで見つめるアスリートには計り知れない広告効果が生まれ、桁違いの富が集中する。日本人トップ選手たちもその活躍にふさわしい報酬を手に入れているようだ。億万長者となっている各界のスター選手を一覧してみよう。【※推定年収は、各種報道での2021年の実績をもとに2022年の収入を編集部が推定(1ドル≒125円で換算)】●大谷翔平(27)ロサンゼルス・エンゼルス投手・DH 推定年収/34億円 本業の年俸は550万ドル(約7億円)だが、アシックスやデサントなど日米15社とのスポンサー契約は1件あたり100万ドル以上で、年間総額は2000万ドル(25億円超)にのぼる。●渋野日向子(23) 推定年収/4億円 2020年からサントリーと3年3億円(年間1億円)の所属契約。アメリカツアーでの獲得賞金に加え、RSK山陽放送やナイキなど約9社のスポンサー収入や9000万円にのぼるCM出演料が入る。●松山英樹(30) 推定年収/38億円 獲得賞金は約5億3400万円(2022年4月時点)。ダンロップとの5年契約(総額30億円)、レクサスとの5年契約(総額10億円)など、約10社との契約金は年間30億円以上にのぼる。●大坂なおみ(24) 推定年収/75億円 昨年の女性アスリートの収入ランキング1位。今年、日清食品所属からフリーに転身するも、ルイ・ヴィトンなどとのスポンサー契約は続行。契約料はナイキとタグ・ホイヤーだけで20億円といわれる。テニスの獲得賞金は年間5億円前後。●錦織圭(32) 推定年収/32億5000万円 過去5年の獲得賞金は年平均1億9000万円。所属の日清食品とは昨年末に契約終了し、今季はフリーで臨む。獲得賞金以外の収入は、ユニクロ12億円、ウィルソン2億5000万円など約10社のスポンサー料で総額30億円にのぼる。●村田諒太(36) 推定年収/7億円 日本初のスポーツ独占生配信(アマゾン)となった“世紀の一戦”ミドル級王座統一戦のファイトマネー6億円(日本人ボクサー史上最高額)に加えて、数千万円のグッズ収入を得た。対するゴロフキンのファイトマネーは15億円。村田は他に、マイナビなど約10社と総額1億円のスポンサー契約を結ぶ。●鈴木誠也(27)シカゴ・カブス外野手 推定年収/21億5000万円 今年3月にカブスと5年総額8500万ドル(約106億7000万円)で契約。メジャーに移籍した日本人野手初年度として最高額で、広島時代の年俸3億円から大幅なアップとなった。●田中将大(33)楽天ゴールデンイーグルス投手 推定年収/10億円 年俸9億円は日本球界最高額。大塚製薬、楽天モバイルなどのCMに出演。昨季は4勝どまりだったが、今季はすでに2勝目を挙げ、日米通算200勝まであと17勝に迫る(2022年4月5日時点)。●ダルビッシュ有(35)サンディエゴ・パドレス投手 推定年収/28億円 年俸は日本人メジャーリーガー最高額2200万ドル(約27億6500万円)。この他に約57万人もの登録者を持つ自身のYouTubeで、300万~1000万円の広告収入を得る。●八村塁(24)ワシントン・ウィザーズ 推定年収/20億円 年俸約6億円に加え、NECや日清食品、大正製薬などと結ぶスポンサー契約は約14億円。もう1人のNBA選手・渡邊雄太の年俸は2億円。●井上尚弥(29) 推定年収/11億5000万円 6月7日のノニト・ドネア戦のファイトマネーは、軽量級では破格の100万ドル(約1億2500万円)。ほかに、NTTぷららやTBCなど、国内外の大手企業とのスポンサー契約は総額10億円に達する。●本田圭佑(35) 推定年収/10億円 現在、サッカーは無所属のため、収入は自身の会社やサッカークラブ経営、カンボジア代表監督の年俸、スポンサー料など。日本人現役サッカー選手最高年俸は、リバプール・南野拓実(27)の5億9000万円。海外の超一流アスリートは…?●リオネル・メッシ(34)パリ・サンジェルマン 推定年収/91億6000万円 年俸51億6000万円。その他、生涯契約を交わすアディダスをはじめ、スポンサー収入は総額約40億円といわれる。同じパリ・サンジェルマンに所属するネイマール(30、右)の年俸は65億2000万円で、ピッチ外の収入は約23億8000万円とされる。●レブロン・ジェームズ(37)ロサンゼルス・レイカーズ 推定年収/131億円 年俸は約51億7000万円。コート外では生涯契約となるナイキの21億円の他、スポンサー収入、株や不動産投資のロイヤリティ、企業の役員報酬などでも収入を得ている。●ロジャー・フェデラー(40) 推定年収/102億円 収入のほとんどを占めるスポンサー契約のうち、特に巨額なのがユニクロの340億円(10年契約)。膝の負傷でしばらく大会に出ておらず、今年半ば頃に復帰が予定されている。●タイガー・ウッズ(46) 推定年収/60億円 昨年2月に交通事故で大ケガを負うも、今年のマスターズで電撃復帰。現時点での獲得賞金は約550万円ながら、ブリヂストンなど10数社と結ぶスポンサー契約で総収入は60億円を超える。※週刊ポスト2022年4月29日号
2022.04.20 19:00
週刊ポスト
東京五輪、なかでも開会式に関わる人たちの過去が次々と問題になった(イメージ、dpa/時事通信フォト)
五輪辞任ドミノをきっかけにすすむ芸人リストラ 秘密裏に「身体検査」も
 世界であれほど威力を発揮した「#MeToo」も、日本では散発的な話題になるだけで、社会的なムーブメントには結びつかず、相変わらずハラスメント加害者は謝罪も反省もしないことがほとんどだ。しかし東京五輪をきっかけに、過去の加害であっても、それに対する誠実な対応と態度を重ねることが求められるようになるかもしれない。俳人で著作家の日野百草氏が、水面下ですすむ、コンプライアンスがより重視されているテレビ業界での芸人リストラ事情について聞いた。 * * *「このオリンピックをきっかけに、芸人のリストラが進むかもしれません」 渋谷、オリンピックの盛り上がりと呼応するかのように押し寄せる人波を眺めながら、キー局子会社役員のA氏が喫茶店のアクリル板越しに発した言葉は衝撃的だった。本稿、「A氏という書き方は嫌だ」と筆者はゴネたのだが、仮名であっても連想によるハレーションは避けたい、固有名詞は何であれ遠慮する、とのことでA氏とさせていただく。「とにかく芸人の数が多い。椅子とりゲームになっています」 確かに、昨今の芸人はバラエティや情報番組、ワイドショーに出ずっぱり。スポットで呼ぶ専門家と局アナを除けば番組ゲストからひな壇まで全員芸人というワイドショーもある。時事ネタはもちろん、ときに政治批判も展開する。「それなりのキャリアの人気芸人でもローカルやネットテレビに行くしかない場合もあります。でもローカルやネットテレビに残ればまだマシです」 キー局とその他ではギャラがまったく違う。ローカル局と呼ばれる地方局やネットテレビの単発ばかりでは華やかな芸能人、という生活には程遠いが、テレビに出ている芸人というエクスキューズにはなる。「コロナもありますし、舞台しかなくなった芸人なんか大半はバイト生活でしょう。ユーチューブ一本で成功できる芸人も一握りです。あれはあれで難しい」 メディアでまったく露出のなくなった芸人には厳しい現実が待っている。視聴者がいくらテレビなんかと嫌っても、芸人が稼ぐには、メジャーでいるにはテレビに出るしかない。インターネットテレビやラジオという手段もあるだろうが、それはテレビ出演を確保しているからこその余録であり、ましてそれすらなくなることは「落ちる」ことを意味する。舞台だけでは食えないし、知名度は大幅に下がる。コロナ禍で営業もままならない。「どんなに強がってみせてもキー局からお呼びが掛かって断る芸人はいませんし、そもそも事務所が許しません。視聴者の方々が思う以上に、キー局のテレビで見ない日はないって状態の芸人は凄いんです。豪邸だって高級車だって手に入る。日本中が羨む美人と結婚できたりする。だからこそ、その椅子とりゲームに意地でも残ろうとする。下衆と思うかもしれませんが、好きなことで成功するってそういうことです。残酷なんです」 それはよくわかる。視聴者は自分の好みだけなのでメジャーもマイナーもないだろうが、プロからすればメジャーとマイナーは歴然と存在する。スポーツほど厳格に分かれていなくともエンタメ、例えば漫画などは明確だ。プロはその創作に生活すべてが懸かっている。あくまで一般論だが、大手出版社のメジャー誌に連載の声を掛けられて無視するプロの漫画家は少ないだろう。同じように芸人だってキー局に出たい。チャンスが欲しい。誤解しないで欲しいが、これはあくまでプロの話である。兼業やアマチュアで好きにやるという自由も存在する。それはそれで素晴らしいことだが、本稿はテレビに出るようなプロの専業芸人、ましてキー局のレギュラーを争うような芸人の話であり、表現行為や創作の上下の話ではない。そしてプロの世界はいずれも残酷だ。「その厳しい中で、いま芸人に求められることも増えています。昔みたいにコントが面白いとか、演技力があるとか、そんなことは当たり前の話で、いかに社会に対してテレビを通して伝えられるか、視聴者の興味を引けるか、数字を持ってるか、これらすべてをクリアして、キー局のレギュラーでいられるわけです」◆毎分視聴率を上げてくれればいい 社会に対してテレビを通して伝える、これはワイドショーや報道に関してのことだ。先にも言及したが、いまや芸人はテレビで政治経済、社会問題から国際情勢まで語るようになった。1990年代までは考えられなかった話だ。「詳しい必要はありません。それは専門家を連れてくればいいし、局アナもサポートします。いかに視聴者の興味をひくか、適度にわかりやすく噛み砕いてくれるか、あと丁度いいくらいに世間とのズレがあるといいですね。それで世間の空気は読めてるというか、この辺はセンスの問題ですね」 そうは言ってもネット上でたびたび発言が問題になる芸人もいる。彼らが切られないのはなぜか。「かつてのようにネットを無視はしませんが、冠(番組)ならそれを上回る数(視聴率)を出してくれればいいし、ゲストやひな壇なら発言した時に瞬間視聴率を上げてくれればいい、お金を出してくださるスポンサーサイドのためにも、数字がすべてですね」 アンチが多くとも、結果さえ出せばいいということか。瞬間視聴率は正確には毎分視聴率と呼ぶ。冠番組ならそのメインの芸人がすべて、いわゆる平均視聴率で勝負することになるが、番組内のレギュラー陣やゲストの場合、その芸人が映った瞬間(分単位)に視聴率が上がったか、下がったかが勝負となる。番組内でメインから話を振られた芸人にとってはチャンスであり、その積み重ねがテレビに残れるか否かとなる。しかし昨今のテレビはSNSにおける人気も重視しているはず、フォロワー数なども影響するのか。「いや、それは別ですね。ニッチな深夜番組やネットテレビなら加味するでしょうが、テレビに出ている芸人ならフォロワーは多くて当たり前ですし、積極的にやってない方もいますから。それにフォロワーは全員がファンとか支持者ではないでしょう。芸人によっては銃口の数だったり、政治的なヤバい連中だったりするかもしれない。実際、フォロワーの多い芸人さんを使ってみても全然数字がとれない場合もありますよ。いわゆる、テレビ的には有名だけど数字を持ってない芸人というやつです」 A氏は例としてM-1グランプリ優勝のコンビSと炎上系でアイドルのプロデュースも手掛けたお笑いトリオYのメンバーKの名を上げた。とくに後者は知名度やSNSの盛り上がりの割に数字を持っていないという。「ゴールデン向き、深夜帯向きがあるし、世帯視聴率じゃなくて個人視聴率(コア視聴率)もあるので一概には言えませんが、数字は持ってたほうがいいのは事実です。持ってる芸人に椅子をとられちゃいますからね」 しかし、いまや芸人のリストラは数字だけの話ではないという。「コンプライアンスの問題ですね、ワイドショーや報道で政治的な発言をするようになりましたから、社会的にアウトな発言はもちろん、昔のような低いモラルで笑いをとるような番組が作りづらくなりました」過去とはいえ、テレビから消えてもらうしかない 1990年代までのお笑い番組といえば暴力といじめ、ヘイトが「ギャグ」としてある程度許容されていた。しかしいまは違う。2021年、情報番組のネタでアイヌに対する差別用語を使用した芸人が問題になったことは記憶に新しい。それ以前の2019年には大坂なおみ選手をネタに「大坂なおみに必要なものは?」「漂白剤。あの人日焼けしすぎやろ!」と披露した女性コンビがBBCにまで報じられ、国際的な批難を浴びた。同年、「黒人が触ったもの座れるか!」という最悪のネタで問題となった別のお笑いコンビもいた。表現の自由はあるが、メジャーな場や公の場はご遠慮願うしかない、ということだろう。「アイヌの件はチェックのずさんな番組スタッフも悪いですが、さすがにいま露骨に昔みたいな番組は作れません。芸人さんもそんなことわかってます。でも昔やったこととなると、どうにもならない」 筆者が聞きたかった核心、今回の目的である。急速なコンプライアンスの改善と社会規範の変化、カウンターカルチャーとしての「笑い」というアンモラルと表裏一体にある芸とはいえ、多くの芸人はプロとして対応していくだろう。しかし過去となると消し去ることはできない。「ネットで遡れる時代になりましたからね。とくに犯罪自慢、いじめ自慢はまずい」 1980年代の不良文化やワル自慢、1990年代の凄惨ないじめ事件の連鎖とアングラを中心とした不謹慎・不道徳ジャンルのことだ。拙文『小山田圭吾辞任でトラウマ蘇った30代男性の告白「いじめは校内犯罪である」』でも言及したが、一連の過去の悪行やその自慢が露呈して社会的に追い込まれる事態が、彼らがオリンピックという公の舞台に携わることを契機に頻出している。「あんなのは自慢しまくったんだから自業自得だし、そもそも当時だって一般社会ではアウトです。でも芸人はいじめとか差別、暴力もギャグって時代がありましたからね。いきなりルールが変わるのは仕方ないけど、そのルールが過去にも当てはめられるとしたらヤバい。大物芸人だって戦々恐々でしょう」 声なき声は確実にアップデートしている。テレビを含めたメディアも、そのメディアに携わる人間も急ぎアップデートしなければならない。保毛尾田保毛男、アダモステ、イヨマンテーズ――あくまで創作上のキャラクター、個人がノスタルジーに浸るのは自由だが公ではもう無理、メジャーな場でカウンターカルチャーを体現することは難しくなった。「創作は創作で特定の被害者はいないのですから、いまやらなければいい話です。でも犯罪やいじめはまずい。芸人って若いころからやんちゃで、スクールカーストの強者だった人が多いでしょう、かつての被害者から暴露されたら大変なことになる」 いじめという名の虐待も暴力も、やった方は忘れても、やられた方は忘れない。過去を忘れても、過去は追いかけてくる。「過去とはいえ、そういう芸人はテレビから消えてもらうしかありません」 A氏の言う通り、豪邸や高級車、美人を手に入れたとしても、過去の内容次第で一巻の終わり、もう社会はそうした悪を許さない。「少なくともゴールデンでは無理。すでに何人か危険な芸人がピックアップされていると聞きます」 いわゆる業界用語で「身体検査」というやつだ。メジャーな場や公的な場、CMなどでは起用の前に内々に調べることがある。アメリカではすでにハリウッドやファッション界を中心に過去を暴かれ、社会的に抹殺された大物もいる。芸人ではないがコーネリアスの小山田圭吾によるいじめという名の犯罪自慢は物議を醸した。韓国でもガールズグループ「APRIL」のイ・ナウンが過去のいじめ疑惑で問題となっている。「それに同業の芸人や事務所だって、椅子とりゲームのために垂れ込んで足を引っ張るかもしれません。視聴者だって手ぐすねひいてます。いじめの被害者は多いですから、許せないとネットで拡散します。ネットを気にしないとは言いましたが、犯罪やいじめのようなリアルに被害者のいる場合は別です。まして社会人になってからなんて洒落にならない。そんなの使ったらスポンサーが逃げます」 一部芸人の困ったところは徒弟制や体育会の感覚で後輩や付き人を虐待し、それを自慢して笑いに変えてしまうところだ。古くはデビュー当時のとんねるずもそれだったが、そんなに古い話でもなく2000年代、カンニング竹山などは付き人に対する虐待、自分の歯垢を忠誠の証として食わせる、尿を飲ませる、せんべいに恥垢をつけて食べさせるといったおぞましい行為を全国ラジオで笑いに変えて自慢していたと報じられた。「学校時代だってまずいのに、社会人でそれはないですよ。付き人いじめは昔からあった話ですけど、最近は付き人だけじゃなく酷い目に遭ったADとか、局の下っ端の意趣返しもあると聞きます。仕方ない話ですけどね、やった内容は洒落になりませんし」 たとえ芸人として「話も盛った」としてもこの内容で理解されるわけがないし、それは小山田圭吾そのままの論法だ。「可愛がっていた」と「俺たち仲間だもんな」は、加害者側の常套句だ。立場を利用して、いい年した大人が下の者に加虐を繰り返す。ブラック企業でも横行する手口だが、そもそも立派な犯罪行為である。「まずいですよね、最近の竹山さんは芸人というより政府に文句を言ったり社会に苦言を呈するご意見番としてテレビに出てたでしょう、過去の話とはいえ社会人になってからの話で、むしろ小山田さんより悪質かもしれません」 こうした騒動を過去の断罪、キャンセルカルチャーだと批難する向きもあるが、具体的な被害者のいない表現手段としての創作は過去の遺物として葬れても、暴力や虐待、いじめという名の犯罪など、明確に被害者のいる過去の悪は応報だと言われても仕方あるまい。繰り返すが、やられたほうは決して忘れないのだ。 これからもA氏の言う通り、おのれの過去に消される芸人が出てくるのだろう。このオリンピックは選手たちの頑張り以外は残念なことばかりだが、ある意味、いじめ問題を含めた日本の旧態を晒した意味での功はあるということか。【プロフィール】日野百草(ひの・ひゃくそう)/本名:上崎洋一。1972年千葉県野田市生まれ。日本ペンクラブ会員。出版社を経てフリーランス。全国俳誌協会賞、日本詩歌句随筆評論協会賞奨励賞(評論部門)受賞。『誰も書けなかったパチンコ20兆円の闇』(宝島社・共著)、『ルポ 京アニを燃やした男』(第三書館)ほか。近著『評伝 赤城さかえ 楸邨、波郷、兜太から愛された魂の俳人』(コールサック社)。
2021.08.08 16:00
NEWSポストセブン
日本を代表する文化であるゲーム音楽に合わせ、206の国と地域の選手が入場。日本は過去最多となる582人の選手団のうち155人が開会式に参加した(Getty Images)
写真で振り返る東京五輪2020開会式 歓声なきパフォーマンスへの称賛も
 2021年7月23日に行われた、東京五輪2020の開会式。前日に解任された元芸人・ラーメンズの小林賢太郎氏を含め、総合演出家が4度も交代するというドタバタを象徴するオープニングセレモニーとなった。 MISIAの個性的な君が代独唱を披露し、木やりうたとダンスのパフォーマンスでは棟梁役で真矢みきが登場。俳優・森山未來は、今なお苦しめられるコロナウイルスの犠牲者へ黙祷を捧げる内容で、神秘的な演出でダンスを披露した。 日本を代表する文化であるゲーム音楽に合わせ、206の国と地域の選手が入場した。日本は過去最多となる582人の選手団のうち155人が開会式に参加した。 入場行進中は、フィールドを囲うように陣取ったパフォーマーたちがお辞儀をし、両手を広げて大選手団をお迎えし、さあこちらへと「おもてなし」のダンスで選手を誘導する。無観客の殺風景に花と彩りを与えた。 冒頭にはコロナ禍によって世界最終予選がなくなり、戦わずしてオリンピアンになる夢を絶たれた女子ボクシング選手の津端ありさを登場させた。「多様性と調和」に加え、現役の看護師である彼女を登場させることで、パンデミックの最中に五輪を開催する意味を世界に問うた。 直径4メートルの五輪のシンボルは、1964年の東京大会の際に各国の選手団が持ち寄った種から育てた木の間伐材を用いて表現した。 大会エンブレムは多様性を象徴している。さまざまな人種、性別、年代のパフォーマーがカラフルな45個のブロックを使って、ともに「東京2020」のエンブレムを作り上げた。立ち止まった世界中のアスリートが再び走り出すまでを描いた演出。赤い紐は血管や筋肉、葛藤などの心情を象徴しているという。 簡素でありながら、1824台のドローンで作り上げた五輪エンブレムから地球の形へと変化し、最新の舞台演出の技術と粋が詰まっていた。 パントマイムアーティストのが~まるちょば・HIRO-PONとGABEZによる全50競技の「動くピクトグラム」は、国内外から称賛の声が続出した。 市川海老蔵は、代表的な演目「暫」の鎌倉権五郎に扮し、世界の厄災が収まるよう祈りを込め、厄災を打ち払う「見得」を切った。 国内を約1万人が121日間かけ繋いだ聖火リレーが国立競技場に到着。聖火は松井秀喜さんが支える長嶋茂雄さんと、王貞治さんの手に渡った。太陽をモチーフとした聖火台に点火したのはテニスの大坂なおみ選手。五輪の理念である男女平等や多様性を象徴する最終ランナーとなった。 閉会式の8月8日まで、オリンピアンたちのパフォーマンスに酔いしれたい。※週刊ポスト2021年8月13日号
2021.07.28 07:00
週刊ポスト
【動画】大坂なおみ ラッパー恋人が「インスタ全削除」の背景
【動画】大坂なおみ ラッパー恋人が「インスタ全削除」の背景
 7月12日に自身のインスタグラムを更新し、恋人でラッパーのコーデーさんとのラブラブなツーショットを公開した大坂なおみさん。 そのコーデーさんが自身のインスタグラムの投稿を突然すべて削除しました。大坂さんとの仲睦まじい姿が複数投稿されていたコーデーさんのインスタ。 2人を知るファッション誌関係者は「2人の関係をとやかくいう声をシャットアウトするために“神聖なもの”に戻そうとしているのかもしれません」とコメントしています。【↑ 上の写真クリックで動画へ】
2021.07.17 16:00
NEWSポストセブン
夢の東京五輪で完全復活が期待される(写真/アフロ)
大坂なおみ「五輪後に引退」の可能性 テニス界のレジェンドも懸念 
「うつ病に悩んでいた」「しばらくコートから離れる」といった衝撃の告白で全仏オープンを棄権し、続く全英オープンも欠場。宣言通り、表舞台から離れていた大坂なおみ選手(23才)が、久しぶりに公の舞台に上がった。米テレビ局主催の、スポーツ界での活躍を表彰する授賞式が7月11日(日本時間)に開かれた。最優秀女子アスリートに選出された大坂選手はドレスアップをし、満面の笑みを見せたのだ。 この期間、大坂選手は、“コート外”での活動は続けていた。「『VOGUE JAPAN』8月号の表紙で水着姿を披露し、7月8日には米『TIME』誌(電子版)でメンタルヘルスについての手記が公開されました。さらに、7月16日にはNetflixで大坂選手に密着したドキュメンタリーが配信開始されるなど、目まぐるしい活躍を見せています」(スポーツライター) しかし、肝心のテニス界からは心配のコメントが寄せられている。レジェンド、ジョン・マッケンロー氏(62才)は、燃え尽きたことを理由に26才で引退した元男子世界ランク1位のビヨン・ボルグ氏(65才)を例に挙げてこう語った。《今の大坂は、彼と似たようなことを感じているのではないか。(中略)大坂がテニスを続けられなくなる危険性もある》 ラケットを持つことを拒む大坂選手に、テニス界の重鎮は「引退」の二文字を指摘した。 テニス界全体が彼女の次の言動に注目する中、7月6日、大坂選手は《日本代表として、出場できることに誇りを持っております。(中略)オリンピックは、全力を尽くします》と、五輪出場のコメントを発表したのだ。これで大坂選手の完全復活とするのは時期尚早だ、とみるのはテニスジャーナリストの塚越亘さんだ。「ほかの競技と比べると、テニスプレーヤーにとって、五輪はそれほど重要ではありません。賞金は出ないし、現在は世界ランクを争うツアー中だからです。しかし、大坂選手にとって日本は生まれ故郷であり、大好きなお母さんの祖国でもあります。自分のためというより“家族のためにも金メダルを目指したい”、そんな純粋な気持ちなのでしょう」 それだけに塚越さんは東京五輪を最後に大坂選手は引退の可能性があると続ける。「彼女は天性の才能と体格に恵まれ、瞬く間にトップに立った印象があります。そのためか良くも悪くもテニスに対する執着心が薄いところがあります。全仏の記者会見の一件で、全仏、全英と連続で四大大会を欠場したこともそういったところでしょう。世界ランク1位を取ると目標を失いモチベーションを保つのが難しいですし、ほかの選手より『引退』という選択肢は近いところにある気がします」 一生に一度あるかないかの母国開催の五輪に向け、大坂選手は、練習拠点のアメリカで練習を再開した。五輪直前に帰国して試合に臨むプランを選んだという。いま、彼女の脳裏には「これが最後の舞台」という思いがよぎっているのだろうか。精神科医の片田珠美さんは、大坂選手の精神状態をこう分析する。「大坂選手は『新型うつ病』の可能性が高いと思います。若い女性に多いのですが、好きなことやうれしいことをやっているときは元気で明るくなるのに、仕事など嫌なことになると落ち込む『気分反応性』が認められます。 大坂選手は、“2018年の全米オープン優勝後にうつ病を発症した”と告白していますが、目標を達成した後にうつ病になることは少なくありません。五輪が、大坂選手の精神状態に影響を与えることは充分に考えられますね」 五輪後も、一日でも長く、コート上に咲く“なおみスマイル”を見続けられることを期待したい。※女性セブン2021年7月29日・8月5日号
2021.07.14 16:00
女性セブン
大坂なおみ ラッパー恋人が「2人の思い出詰まったインスタ全削除」の不穏
大坂なおみ ラッパー恋人が「2人の思い出詰まったインスタ全削除」の不穏
 7月12日に自身のインスタグラムを更新した大坂なおみ(23才)は、恋人でラッパーのコーデー(23才)と体を寄せ合い微笑むアツアツの2ショットを投稿した。 大坂といえば5月下旬、ツイッターで全仏オープンの棄権と長らくうつ病に苦しんできたことを告白。その後、ウィンブルドンも欠場したものの、7月6日には東京五輪出場を明言している。「今回投稿したのは、スポーツ界のアカデミー賞と呼ばれるESPYアワードの時の写真です。恋人といることで、リラックスして過ごせている様子が表情から伝わってきました。東京五輪での来日直前の良い時間になったのでしょう」(スポーツ紙記者) 大坂にとって、コーデーは人生に新たな刺激を与えた人物だった。「もともとすごくシャイなのに、彼との交際を始めてから様々な社会的問題に関心を示すようになり、それだけに留まらず、自ら発信までするようになりました。黒人への人種差別に対する抗議活動であるBlack Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター)への支持表明や、アジア系住民へのヘイトクライムに対する批判は良い例でしょう。ラッパーとして自らの価値観や社会への思いを吐露するコーデーに影響を受けた部分があると思います」(前出・スポーツ紙記者) そのコーデーにある変化が起きている。「実は7月8日、自身のインスタグラムの投稿を突然、すべて削除したのです。それだけでなく、自らのアイコンの画像も真っ黒にして、すべてをリセットしたようにも見えます(7月12日現在)。210万人ものフォロワーがいるのですが、突然の行動にファンたちも首をかしげています。自己紹介を書く場所に9月に発売予定のセカンドアルバムのタイトルを載せたままにしているため、『宣伝のため?』という声も上がっていますが…」(音楽業界関係者) 1枚のアルバムのPRのために全ての思い出を消すことがあるのだろうか。コーデーのインスタには大坂との熱い2ショットが複数投稿されていた。プールサイドで水着姿の大坂と密着した写真や、大坂の試合前に一緒にウォームアップする姿など、消したくない思い出であろう写真ばかりだ。「コーデーの“全削除”には彼の決意の表れを感じます」とは2人を知る海外のファッション誌関係者だ。「最近でこそラブラブのショットを載せあっていたふたりですが、コーデーは過去のインタビューで『2人の関係は神聖なもの。だから投稿はしなかった』という趣旨の発言をしています。大坂選手を取り巻く環境を心配したコーデーの気持ちが元に戻り、2人の関係をとやかくいう声をシャットアウトするために“神聖なもの”に戻そうとしているのかもしれません」 五輪直前に恋人がとった謎の行動。大坂にどんな影響があるのだろうか。
2021.07.13 16:00
NEWSポストセブン
2020年5月、「シャイな自分はもうやめる」とツイッターで宣言して以来、積極的に情報発信していた(時事通信フォト)
大坂なおみ 周囲が求める「オピニオンリーダー的振る舞い」に疲れたか
 幼い頃からの「夢の舞台」にやっと手が届いたところだった。東京五輪開幕を1か月半後に控えて、突然、「うつ病」を告白し、表舞台から姿を消した大坂なおみ(23才)。現時点(6月16日)では、ツイッターやインスタグラムで五輪に関する発言はない。憧れの場所は、いつの間にか、彼女の心の大きな負担になっていた──。 大坂選手が全仏オープンの記者会見を拒否したのは5月30日。その理由について「何度も同じ質問をされる」「疑念を抱かせるような質問をされる」と訴えた。会見拒否の後、大坂選手はツイッターでこう語っている。「私は人前で話をするのが得意ではなく、世界中のメディアを前にして大きな不安に襲われます。とても緊張し、いつもできる限り人々の心を掴む話をしなければならないとストレスを感じてきました」 大坂選手は人種問題や女性差別など、彼女の考えを、彼女なりに語り、行動に移してきた。スポーツライターの山口奈緒美さんはいう。「最近の大坂選手は『Black Lives Matter(BLM)』のような人種問題や、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗前会長(83才)の女性蔑視発言について問題提起し、発信力が強くなっていた。それだけにメディアは彼女に“オピニオン・リーダー的な振る舞い”を求めすぎたのかもしれない。自分たちで言えないことを、大坂選手に言わせて“代弁”させるような雰囲気もあったように感じます」 もちろん大坂選手自身がさまざまな社会問題に関心を持ち、よかれと思って行動してきたところはあるだろう。ただ、東京五輪の開催是非だけでなく、メディアはさまざまなテーマを大坂選手に“語らせよう”としてきたのも事実だ。 しかしその一方で、大会の主催者やスポンサー、テニス団体の関係者らの一部には、「テニス以外の余計なことを言うな、するな」という声があったのもたしかだ。「大坂選手にも、“テニスに集中した方がいい”とか、“余計なことに口を出すから試合に負ける”などと批判めいたことを言う人も少なからずいました。メディアに求められるものとの“板挟み”でも大坂選手は悩んでいた」(大坂選手をよく知る関係者) 五輪の開催国である日本のテニス関係者も、大坂選手の「意見表明」には不安を抱えていたという。「五輪で日本代表選手をサポートする日本テニス協会は、大坂選手とうまくコミュニケーションが取れていないと聞きます。今回のうつ病公表もそうですが、大坂選手は繊細なところがある。本当に気を許したスタッフにしか心を開かないそうです。 大坂選手の意図を測りかねている協会の一部では、活発に意見表明をする大坂選手に“五輪中止については触れてほしくない”“東京五輪ではテニス以外で目立つパフォーマンスは控えてほしい”と心配しているといいます。 夢にまで見た東京五輪でも、自分らしい主張のことで板挟みになり、大坂選手は大きく落胆したのではないでしょうか」(前出・大坂選手をよく知る関係者)「そもそも、スポーツ選手が何について語るかはその選手が決めることだ」とスポーツ文化評論家の玉木正之さんは指摘する。「スポーツ選手だから社会問題を語ってはいけないと考えること自体がおかしなことです。スポーツ選手だって人間なんです。それなのに、大坂選手に執拗にコメントを求めて“よくぞ言った”と賛辞を贈ったり、逆に“なんでそんなことを言うのか”と批判したり、過剰に反応することで、大坂選手の人間性や考えが置き去りにされているように感じます」 私はどう答えればいいのか──コロナ禍という不運に見舞われたこともあるが、憧れの東京五輪が大坂選手の心を壊してしまったのかもしれない。※女性セブン2021年7月1・8日号
2021.06.18 16:00
女性セブン
2020年5月、「シャイな自分はもうやめる」とツイッターで宣言して以来、積極的に情報発信していた(時事通信フォト)
五輪出場権獲得の大坂なおみ 「夢の舞台」と語っていたのになぜ沈黙?
 喜びを爆発させてもいいはずなのに、なぜか彼女は沈黙を貫いている。女子テニス協会は6月14日、最新の世界ランキングを発表。2位の大坂なおみ選手(23才)は、56位圏内に与えられる「東京五輪の出場権」を獲得した。「大坂選手にとって五輪は夢の舞台です。まだ無名だった10代の頃から“五輪に出たい”と明言していました」(スポーツライターの山口奈緒美さん) ところが、大坂選手がよく情報発信しているツイッターやインスタグラムでも五輪に関する発言はない。出場権は得たものの、7月5日までに出場の意思表示がなければ、出場は叶わないルールだ。「ウィンブルドンを5回、全仏を6回も制覇したスウェーデンの名プレーヤー、B・ボルグ選手は、1983年、“燃え尽き症候群”で26才の若さで突然引退しました。テニス界ではいま、うつ病を公表した大坂選手もそのまま引退してしまわないかと心配されています」(テニス協会関係者) 大坂選手が全仏オープンの記者会見を拒否したのは5月30日。その理由について「何度も同じ質問をされる」「疑念を抱かせるような質問をされる」と訴えた。大坂選手をよく知る関係者が語る。「彼女が苦痛に思っていたのは、東京五輪について繰り返し聞かれることでした。まるでコロナ禍で五輪を“強行”することが、日本人の彼女のせいかのような言い方もあり、相当なプレッシャーになっていたようです」「正直なところ私にはわかりません」 たとえば、今年2月、全豪オープン優勝翌日の会見。大坂選手は五輪開催について聞かれ、こう答えている。「私にとって初めてのオリンピックであり、東京は夢のような場所です。でも……私はあまり深く考えたくありません。なぜなら、分析しすぎて、自分にストレスをかけてしまう気がするからです」 同様の話を何度も繰り返ししているにもかかわらず、大坂選手が会見を開けば必ずといっていいほど東京五輪について聞かれた。5月に入ると、欧米メディアを中心に「開催は中止すべきだ」という論調が盛り上がる。5月10日、英BBCインタビューで「開催は適切か」と問われると、大坂選手はこう嘆いた。「正直なところ、私にははっきりわかりません」 大坂選手だけではない。スペインの男子トップ選手のラファエル・ナダル選手は「はっきりとした答えはない。自分ではわからない」(5月11日)と語り、セルビアのノバク・ジョコビッチ選手は出場するかどうか聞かれると「出るべきかどうか、自分に問いただしている。もし会場に観客が入るなら出る」(5月27日)と話して、無観客だった場合の「辞退」を匂わせた。 そのなかでも、日本人である大坂選手には同じ質問が集中砲火された。「特にアメリカのテニス・メディアは、あの“因縁”から日本代表としての大坂選手に厳しい質問をしているように感じる」と言うのは、前出のテニス協会関係者だ。「2018年に全米オープンで優勝すると、日本とアメリカ両方の国籍を持つ大坂選手は、“どちらの代表になるのか”の選択を迫られました。日本テニス協会は無名時代から手厚い支援をしていたが、アメリカは『あらゆる面倒を見る』と、莫大な資金を元手に“籠絡作戦”を始めた。日米で争奪戦が起きたのです。 結局、日本に恩義を感じていた両親の意向もあり、日本代表として戦うことを選んだのですが、アメリカ側にはその遺恨が少なからずあるのでしょう」 会見拒否の後、大坂選手はツイッターでこう語っている。「私は人前で話をするのが得意ではなく、世界中のメディアを前にして大きな不安に襲われます。とても緊張し、いつもできる限り人々の心を掴む話をしなければならないとストレスを感じてきました」 夢の舞台だった東京五輪。当然プレーはしたいが、開催についてはいろんな意見の人がいる。日本中が彼女の金メダルを期待しているが、果たしてそれは叶うのか。※女性セブン2021年7月1・8日号
2021.06.17 16:00
女性セブン
会見を拒否、そしてうつ病を告白した大坂選手(写真/Getty Images)
会見拒否、うつ病告白 大坂なおみ選手が戦ってきた差別と誹謗中傷
 5月下旬に発表された2021年度版のスポーツ選手長者番付で年収約60億円と女子選手最高額となったのは、テニスの大坂なおみ選手だ。スポーツ選手全体でも世界で15位にランクインした彼女は、プレーヤーとしてはもちろんオピニオンリーダーとしても注目され、順風満帆に見えていたが、2018年の全米オープン優勝以後、じわじわと追い込まれていた──。 すべてはこのSNS投稿から始まった。《私はローランギャロス(全仏オープン)では記者会見を行わないことを表明します。アスリートの心の健康状態が無視されていると、記者会見を見たり、参加したりするたびに感じていました。何度も同じ質問をされたり、私たちが疑念を抱く質問を受けたりすることが多く、私は自分を疑うような人の前には出たくありません》 現在、フランス・パリで行われているテニスの4大大会(グランドスラム)の1つ「全仏オープン」。その開幕前の5月27日、大坂なおみ選手(23才)が記者会見を拒否すると宣言したことが、世界中を巻き込む大騒動に発展している。 SNSでの言葉通り、大坂選手は30日の1回戦での勝利後、記者会見場に姿を見せず、大会側は規定違反により165万円の罰金を科した。さらに4大大会の主催者は合同で声明文を出し、次のように警告した。「このままメディアへの義務を無視し続けると、さらに違反につながる。違反を繰り返すと、大会からの追放、多額の罰金、4大大会への出場停止など、より厳しい制裁を受けることになる」 大坂選手に対して理解を示す声がある一方、ノバク・ジョコビッチ選手(34才)や錦織圭選手(31才)らテニス界のスタープレーヤーたちからは疑問の声が上がった。これまで20年近くグランドスラムを取材してきたスポーツライターの山口奈緒美さんも、大坂選手のような「会見拒否」は過去に例がないと話す。「負けたあと、会見をせずに帰ってしまったり、途中で退席した選手ならいくらでもいます。しかし、最初からやらないというのはおそらく初めてのケースです」 過去にはセリーナ・ウィリアムズ選手(39才)が、記者からの質問を受けて涙ぐんで退出。ロジャー・フェデラー選手(39才)が「バカな質問をしないでくれ」と記者を一喝したこともあった。だが、これらの事件はあくまでも会見中の出来事。大会前から会見に参加しないと決めた選手はいなかった。 あまりに事態が大きくなったため、大坂選手の姉で、この3月にプロテニスプレーヤーを引退したまりさんは、ソーシャルメディア『Reddit』に文章を投稿。《彼女は自分の心を守っている。それが、彼女が『メンタルヘルスのために』と明かした理由です》と大坂選手を擁護。《私は妹の行動を全面的に支援します》と表明したが、この投稿はすぐに削除されてしまった。「家族の“火消し”に効果はまったくありませんでした。鎮静化するどころか、日に日に騒動がエスカレートしていく様に驚き、お姉さんは投稿を消さざるを得なかったのでしょう」(テニス関係者)うつ病を告白した本当の理由 大坂選手の言動がスポーツ界だけでなく世界中から注目を浴びたのは、今回が初めてではない。人種差別抗議運動を象徴する「Black Lives Matter(BLM)」に強い姿勢を示したことがきっかけだった。 昨年8月、米ウィスコンシン州で起きた警察官による黒人男性銃撃事件に抗議するため、大坂選手は出場予定だった「ウエスタン・アンド・サザン・オープン」の準決勝を棄権する意思を表明した。続く全米オープンでは、7名の犠牲者の名前を書いたマスクを毎試合着用したことでも話題を呼び、注目のなか見事に優勝を果たしている。「一連の抗議活動の際、彼女は『私はアスリートである前に黒人女性』と発言。応援の声が上がる一方で、『スポーツに政治を持ち込むな』や『黒人なら日本人ではない』などの誹謗中傷もありました。 日本からの差別的な声もあったが、彼女は毅然としていた。BLM以降は、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(当時)の女性差別的な発言に関する質問などに対しても“無知から生じた発言だと思う”などと、はっきりと自分の考えを述べています」(山口さん) だが、彼女のこうした強気な言動は、繊細で内向的な自分を隠すためだったのかもしれない。5月31日、大坂選手は全仏オープンの2回戦の棄権を発表した。そして、自身のTwitterで一連の発言をこう弁明した。《私は2018年の全米オープン以降、長い間うつ病に悩まされ、その対処に本当に苦労してきました。私は人前で話すのが得意ではなく、世界中のメディアに向かって話す前に大きな不安に襲われて緊張してしまいます。このパリの地で、すでに私は弱気になっており、不安を感じていたので自己管理をして記者会見を欠席したほうがよいと考えました》 さらに、大会主催者に謝罪の手紙を書いたことも明かした。トップアスリートが一転、心の病を告白したことで、再び世間は揺れているが、なぜ彼女はあのような発言をしたのだろうか。 山口さんが注目しているのは、5月が米国の「メンタルヘルス啓発月間」だったことだ。「過去には雑誌『ELLE』でセレブが過去のうつ経験をカミングアウトしていて、大坂選手が大好きなビヨンセも自身のことを話しています。全仏前にナーバスになっているなか、なんらかのアクションを起こしたかったのかもしれません」(山口さん) いまでこそ、オピニオンリーダーとしての地位を確立し、女子アスリートとしては60億円という世界一の年収を誇るが、ここまでの道のりは険しかった。ハイチ系アメリカ人の父と日本人の母の間に生まれた大坂選手は米国内でマイノリティーとして育ってきた。「彼女がテニス選手として頭角を現してきた10代前半頃、インターネットでは『大坂はブラジアン』という書き込みがあふれていました。『ブラジアン』とは、ブラックとアジアンを合わせた差別用語。彼女はずっと『私は黒人で日本人』と言っていましたが、記者会見でも人種や国籍を問われることが多く、やがて『私は私……』と答えるようになっていました。 テニス界は白人中心の世界ですから、彼女がトッププレーヤーでも誹謗中傷の的になり続けた」(別のテニス関係者) 現在、インターネットのSNS上では、アスリートに向けた差別や誹謗中傷があふれている。欧米では社会問題となり、ついに4月30日から5月3日まで、欧州サッカー連盟などが旗振り役となり、他競技の組織や団体にSNSの利用を一時停止するよう呼びかけた。「国際テニス連盟もこの動きに加わりました。目下、テニス界では大坂選手への誹謗中傷が最も目立っていますから、連盟も彼女のメンタルを守ろうとしていたとは言えます」(スポーツジャーナリスト) そんな彼女を支えているのが、恋人でラッパーのコーデー(23才)だ。「彼と行動を共にするようになってから、大坂選手の言動はさらに強いものになっていきました。ただ、恋人でさえも、彼女の本当の不安を取り除くことはできなかったのでしょう」(前出・別のテニス関係者) 大坂選手は今夏開催が予定されている東京五輪に日本代表選手として出場することが確実視されてきた。だが、今回の騒動で出場が危ぶまれ始めている。「たとえ五輪が開催されてもいまの精神状態で試合をするのは難しいでしょう。2019年に日本国籍を選択したのは、東京五輪に出場するためです。本人は“絶対に出る”と意欲を見せているようですが……」(前出・別のテニス関係者) これまで大坂選手は、テニスコートで厳しい視線や声に耐えて戦い続けてきた。社会を変え得る力を持ったアスリートとして再び堂々とセンターコートに立ってほしい。※女性セブン2021年6月17日号
2021.06.03 19:00
女性セブン
大坂なおみ(女子テニス候補。写真/EPA=時事)
大坂なおみ「うつ病」告白でもネットでは無神経な批判続くのはなぜか
 テニスプレーヤー・大坂なおみ(23才)が全仏オープンの棄権と「うつ病」を告白したことから、それまで「身勝手だ」「会見も仕事の一つ」「未熟だ」などと批判の声が多数だった空気が変わり、心配する声が多数出た。 大坂が告白した内容は衝撃的だった。5月31日、大坂は長らくうつ病に苦しんでいたことをツイッターで発表。棄権することが他の選手が全仏でテニスに集中できるために必要だったと述べた。 棄権に至った理由を長文で述べるとともに、うつ病であること、人前で喋ることが本当に苦手であることなどを説明すると「そこまで苦しかったんだ……」といった同情論がメディアを中心に噴出し、主催者側も謝罪した。 一方、いまだに厳しい声が出ているのは一部のネットだ。「無責任」「後だしじゃんけん」といった無神経な声が書き込まれているのだ。 大坂はこれまでスポーツ以外の数々の問題に自身の意見を発信してきた、いわばオピニオンリーダー。それゆえ、ここ数年、叩かれやすい状況にあったとネットニュース編集者の中川淳一郎氏は語る。「大坂さんはBLM(ブラック・ライブズ・マター)運動をはじめとした社会的イシューに積極的に情報発信してきました。それに対して『スポーツに政治を持ち込むな』と批判され続けた。あとは試合中、怒りのあまりラケットを投げたりする行為にも『スポンサーに失礼』『子供たちに悪影響』などと批判されていました。あとは、日本国籍なのに日本語があまりしゃべれないことに対しても批判されていますし、何かと『日本人らしくない』と言われ続けてきました。これは明らかに言いがかりです。 こうした状況が続くうちに、今、5ちゃんねるでは、『彼女は何があろうが叩いても構わない』という暗黙の了解的なものができてしまった。書き込みからすると保守派の男性が大坂さんを良く思っていないのではないでしょうか。いわゆるポリコレに反発する流れは彼らの中ではありましたが、その象徴が大坂さんになり、『叩いてもいい存在』になっている。つまり、自分たちこそ被害者だ、という感情です」 だが、今回は、大坂が長年苦しんできたという、うつ病の告白だ。一線で活躍するスポーツ選手がメンタルの不調を抱えながら、それを明かすことは多くはない。それは、トップレベルで活躍する選手ほど、弱い面を見せてはいけないという意識が働くからと言われる。そんな彼女の告白に、スポーツ選手を含む多くの人たちが「勇気がある」と称えている。 そうした“決意の告白”にも、ネット民が辛辣な声を上げ続けるのはなぜなのか?「ネットは過去の“何か”を持ち出して絶対に許してくれません。過去にやらかしてしまったりトラブルを起こした人の名前をネットで見ると必ずそのやらかしやトラブルが書き込まれ、批判の題材になる。一度叩かれたら一生忘れない執念深さがあります。大坂さんも、今回のように病気の告白であっても、何をしようが、『ラケット投げ』などと以前の行動をもとに叩かれ続けてしまうのです」(中川氏) 例えば、立憲民主党の蓮舫議員が、スポーツの日本代表などが優勝したときに祝福コメントを出すたびに「2位じゃダメなんですか?」と言われ続けたり、木下優樹菜がSNSで発信するたびに、タピオカ店への恫喝騒動のことが蒸し返されたりするケースも同様だという。ネットは匿名ゆえ、偏ったバッシングが広がりやすく、とにかく執念深いのだ。 そんななか、ネットでは最近、微妙な変化が出てきたという。 不倫騒動を起こしたアンジャッシュ・渡部建に関する報道で、メディアに対して苦言を呈する声が出ているのだ。不倫疑惑がキャッチされた有村昆や清田育宏(千葉ロッテマリーンズを契約解除)に関する記事で、渡部がからめられて報じられた場合「関係ねぇよw こじつけすぎ」「渡部ってなんでもこじつけで記事にされてるなw」「渡部は嫌いだけど、なんでも渡部の復帰の話題に繋げるってのはよくない」などの意見が増えている。「ネットの人々は、偏っている面はあるものの、『強者』たるメディアが過度に誰かを叩き過ぎると反発する面があり、判官贔屓になる。今や渡部さんは時々『擁護される人』になった。こうした変化は時にあります。ただ、相変わらずネット上は人を叩いてばかり。関係ない他人の人生を叩くのは自分の人生にとっては無駄だと割り切れないのですかね?」(中川氏) メンタルが傷ついた人への無責任なバッシングは、その人をさらに追い込みかねない。今回、大坂は「(記者会見は)緊張するし、出席して自分にできる限りの答えを出そうとすることが、いつも大きなストレスになっている」と“弱さ”を率直に明かした。まずは一刻も早い回復が待たれる。
2021.06.03 11:00
NEWSポストセブン
大坂なおみ(女子テニス候補。写真/EPA=時事)
大坂なおみが五輪開催の可否に言及 内外で報じられ方に差が出た理由
 バッハ会長は5月10日、IOCの公式サイトで「すべての人のために安全な東京五輪・パラリンピックを開催する」と改めて表明したが、アスリートたちは「再考」を求める声を上げ始めた。 日本代表として五輪出場内定確実なテニスの大坂なおみ選手は「もちろんオリンピックは開催してほしいと思っています」としながらも、「もしオリンピックが人々を危険にさらすのであれば、そして人々が開催を居心地悪く感じているのであれば、私たちは今すぐに議論すべきです」と発言し、続いてコロナ感染の経験を持つ錦織圭選手が「1人でも感染者が出るならばあまり気は進まない。死者がこれだけ出ている、ということを考えれば、オリンピックは死者を出してまでも行なわれることではないとは思う」と踏み込んだ。 ところが、内外のメディアで大坂選手の発言の報道ぶりは全く違った。 米国ロイター通信は〈テニス=大坂なおみ、五輪開催は「危険あるなら議論すべき」〉と報じたのに対し、読売新聞グループのスポーツ報知は〈大坂「開催してほしい」〉の見出しで、大坂が語った「議論してほしい」という部分は報じなかった。 日本の新聞・テレビは、大坂選手や自身のSNSに五輪反対派から「辞退して」などのコメントが寄せられていると訴えた池江璃花子選手らの発言は報じても、「五輪中止」を主張する社はほとんどない。 朝日、読売、毎日、日経はいずれも組織委と東京五輪のオフィシャルパートナー契約を結んでいるからだ(産経新聞はそのワンランク下の「オフィシャルサポーター」)。スポンサー料を払う代わりに「がんばれ!ニッポン!」など関連ロゴマーク、五輪の関連映像や写真、日本代表選手団の関連素材などの幅広い使用権が認められている。 大手広告代理店勤務の経験がある作家の本間龍氏が、その“旨味”を語る。「五輪が開催されれば、新聞社には大会スポンサーの大手企業の広告が一斉に入るし、五輪特集の別刷りを発行すれば、そこにも五輪キャンペーン広告が多数入る。1社あたり数十億円単位の売り上げが見込めるはずです。新聞不況の中、パートナーの各社は中止で五輪特需を失いたくないのが本音でしょう」 テレビ局も同じだ。民放キー局をはじめ全国の放送局が加入する日本民間放送連盟は、NHKとコンソーシアムを組んで東京五輪の国内放映権を取得しており、各競技を分担して放映する予定だ。「民放にとって五輪はCMの稼ぎ時。中止になれば五輪番組の代替番組を用意しなければならないし、CM収入も減る。ビジネスチャンスを逃したくない」(同前) 大メディアも「五輪利権」を当て込んでいることではIOCや組織委と一蓮托生なのだ。※週刊ポスト2021年5月28日号
2021.05.19 07:00
週刊ポスト
桐生祥秀、玉井陸斗
桐生、大坂、池江ら 五輪に引き裂かれるアスリートたちの肉声
 緊急事態宣言下、東京五輪開幕まで70日に迫る。観客を入れるのか、無観客での開催か、それとも中止なのか。感染対策とワクチン接種はいかなる手順で進むのか。前のめりに突き進む政府、東京都、そしてIOC。頂を目指すアスリートたちは、言葉を選びながら本番に備えて牙を研ぎつづける。代表選手たちの言葉を振り返ろう。桐生祥秀(陸上・男子100メートル候補)「どういう発言をすればいいのか迷っている自分がいる。1戦、1戦、やるしかない」 5月8日、五輪テスト大会に向けた記者会見での発言。五輪選手にワクチンが提供されることについて、「アスリートが特別だと思われてしまうのは残念」と複雑な気持ちをにじませた。玉井陸斗(飛び込み・男子高飛び込み)「ニュースを見て感染者が増えていると、(五輪開催は)怪しいなと思ったが、あると信じてモチベーションを保ってきた」 自身初の代表が決まった5月3日に発言。五輪最終予選を兼ねた国際大会で緊張によるミスが相次ぐも、最後は見事な演技を披露し、土壇場で代表入りを果たした。14歳のアスリートはメダルへの意欲を燃やす。一山麻緒(陸上・女子マラソン)「残り3か月で少しずつ状態を上げていって、五輪本番では皆さんに私らしい元気な走りをお見せできたらいいと思います」 5月5日、北海道で行なわれた五輪マラソンのテストイベントでの発言。代表に内定している一山(左から2人目)はこの日、1時間8分28秒のハーフマラソン自己ベストで優勝。本番に向けて順調ぶりをアピールした。服部勇馬(陸上・男子マラソン)「他の環境というか、医療従事者の皆さんだったり、本当に苦しい状況の中で仕事をされていることを考えると……。僕自身は仕事が走ることであるので、そのことを止めるべきか」 5月5日、一山と同じくテストイベント「札幌チャレンジハーフマラソン2021」に出場。議論が噛み合わない五輪に戸惑いを感じつつも、「しっかりと準備をしていきたい」と話した。新谷仁美(陸上・女子1万メートル)「アスリートだけが特別という形で聞こえてしまっているのが非常に残念。どの命にも大きい、小さいは全くない。アスリート、五輪選手だけはおかしな話。優先順位をつけること自体おかしな話だと思う。どの命も平等に守らないといけない」 5月8日、五輪テスト大会に向けた記者会見でワクチンをアスリートに優先接種することについての発言。接種自体についてはに前向きな意向を示す一方、副反応を心配していることも口にした。市川友美(パラリンピック・ボート・女子シングルスカル)「20代や30代の仕事をしている人に打った方がいいんじゃないかなとは思っている。ただ、海外から来る人が打っているのに、こっちの人は打っていないというのは、おかしいといえばおかしいかな」 5月7日の「アジア・オセアニア大陸予選」PR1女子シングルスカルで優勝、パラ五輪代表に内定。前日、五輪パラリンピック選手へのワクチン確保が発表されたことを受けて。大坂なおみ(女子テニス候補)「特にこの1年は重大なことがたくさん起こっていて、多くの予想外のことが起きた。人々を危険にさらす可能性があるのならば、絶対に議論すべきだと私は思う」 5月9日、イタリア国際出場を前にオンライン記者会見での発言。日本に五輪反対の声が根強いことを受け、選手として五輪開催の希望を表明するも、日本の世論にも理解を示した。錦織圭(男子テニス候補)「選手村で100例、1000例の感染者が出るかもしれない。コロナはとても容易に拡大してしまうから。だから(大坂)なおみが言ったのと同じようなことを言いたい。どう安全にプレーできるか、議論する必要がある」 5月10日、イタリア国際男子シングルスに出場し、1回戦を勝利した後の記者会見で答えた。さらに「簡単ではない。特に今、日本で起きている状況はうまくいっていない」とも。池江璃花子(競泳・女子400メートルリレー、400メートルメドレーリレー)「私に反対の声を求めても、私は何も変えることができません。ただ今やるべき事を全うし、応援していただいてる方達の期待に応えたい一心で日々の練習をしています。(中略)この暗い世の中をいち早く変えたい、そんな気持ちは皆さんと同じように強く持っています。ですが、それを選手個人に当てるのはとても苦しいです」 5月7日、自らのTwitterで発言。白血病の療養生活を経て五輪代表入りを決めたにもかかわらず、出場辞退や五輪への反対を求めるメッセージがSNSに寄せられた。匿名の圧力に、自身の心境を吐露した。※週刊ポスト2021年5月28日号
2021.05.17 19:00
週刊ポスト
大坂なおみはハードコートを得意とする(写真/AFP=時事)
全豪圧勝の大坂なおみ 苦手な土と芝のコートを克服できるか?
 大坂なおみが全豪オープン女子シングルス決勝(2月20日)を制し、2年ぶり2度目の優勝を果たした。4大大会制覇は2020年の全米オープンに続いて4度目。最新の世界ランキングは2位に浮上した。 圧倒的強さを見せた大坂だが、再びランキング1位に返り咲くには“難敵”が待ち構えている。「大坂選手の4大大会制覇は全米と全豪だけで、いずれもハードコート。クレーコート(土)の全仏やグラスコート(天然芝)のウィンブルドンでは結果が振るわない。大坂選手の成績はコートに左右される部分があるんです」(スポーツ紙記者) 直近の4大大会を見ると、世界ランク1位で臨んだ全仏(2019年5月)は3回戦敗退、ウィンブルドン(同年7月)は1回戦で敗退している。 4大大会すべてに出場経験のある元プロテニス選手・神尾米氏が語る。「大坂選手は足の裏でしっかり地面を踏んでボールに力を伝えるプレースタイルなので、ハードコートが一番戦いやすい。逆に凹凸のあるクレーコートや、滑りやすいグラスコートは足元がぐらつくので、パワーショットが打ちづらい。とくにクレーコートはサービスエースやリターンエースが減り、ラリーが続く持久戦を強いられる。大坂選手のようなタイプは苦戦する傾向がある」 経験値の差も大きいという。「ハードコートを得意とする選手はハードコート中心の大会を回るので、1年間でクレーコートやグラスコートを回るのは全仏やウィンブルドンの時期(5~7月)だけ。攻略に費やす時間が圧倒的に足りない」(神尾氏) 土や芝を苦にしないランク1位のアシュレイ・バーティ(豪)を上回るには苦手を克服する必要がありそうだが、神尾氏はこう話す。「あえてウィンブルドンや全仏は“重要視しない”というスタンスで、年間を通じてクレーコートの大会をスキップし、ハードコートのみに照準を絞る選手も中にはいます。ただ、私としてはグランドスラム(4大大会全制覇)を達成してほしい。粘り強さや小技が必要とされるコートを攻略できれば、十分に手が届くと思います」 得意なコートで勝利を重ねるか、苦手なコートでも勝利を目指すか──大坂の選択やいかに。※週刊ポスト2021年3月12日号
2021.02.28 11:00
週刊ポスト
東京五輪の1年延期がアスリートにどう影響したか(時事通信フォト)
錦織圭、大坂なおみ… 五輪1年延期がアスリートを天国と地獄に分かつ
 東京五輪の1年延期で、多くのアスリートの運命が変わった。猶予期間を得たことでスランプから脱出した選手もいるが、引退を決意した選手もいる。女子バレーボールの新鍋理沙(30)や女子バスケットの大崎佑圭(30)らだ。 そして、リオ五輪のバドミントン・女子ダブルス金メダリストである「タカマツ」ペアの高橋礼華(30)も。東京五輪の代表レースでは後輩ペアの後塵を拝すなかで延期が決定し、引退を決断。自粛が解けた直後、ペアを組む松友美佐紀(28)にコンビ解消を伝えた。 3人はいずれも1990年生まれの30歳。東京五輪を節目と考えていた彼女たちにとって、1年の現役延長には相応の覚悟が必要だったのだろう。 一方で、ベテランの域に達しながら現役続行に迷いがないのが卓球の石川佳純(27)や女子ソフトボールの上野由岐子(38)だ。とりわけ上野は、2024年のパリ五輪で再び五輪競技から外れるソフトボールで、有終の美を飾るという一心で現役を続ける(東京五輪は追加種目として実施)。 五輪の延期後にアクシデントに見舞われたのは、テニスの錦織圭(30)。8月にコロナに感染し、直後の全米オープンも欠場せざるを得なかった。対照的に2度目の全米制覇を遂げた大坂なおみ(23)は、世界ランク3位に浮上し、全米、全豪に続く3つ目のビッグタイトルも視野に入る。 ちょうど1年前、海外のトーナメントに出場後、帰国の途に就くなかで自動車事故に遭ったのがバドミントンの桃田賢斗(26)だった。命に別状はなかったが、帰国後、シャトルが二重に見えることから再検査すると、眼窩底骨折が判明した。 世界ランク1位だった桃田といえども、五輪の延期は眼と心のケアのためにも必要な時間だったかもしれない。復帰戦となった12月の全日本総合選手権で初戦に勝利したあと、桃田はこう語った。「感覚のズレは、正直、ありました。リハビリでパフォーマンスが下がっていたので、(その状態から)こつこつと、できることがひとつひとつ増えていくのを実感しながら、パフォーマンスを戻すことができていると思う」 コロナ禍の2020年に、苦しんだアスリートといえば女子ゴルフの渋野日向子(22)だ。2019年に全英女子オープンを制し、スマイリング・シンデレラと呼ばれた渋野は、オフに肉体改造に加え、アプローチを中心とするショットのバリエーションを増やすことに力を注いだ。 ところが、約4か月遅れで開幕した2020年の国内開幕戦は予選落ち。イギリス・アメリカ遠征でも上位で戦えず、五輪の出場権を左右する世界ランキングでは国内3勝を挙げた古江彩佳(20)に抜かれ日本人3位に後退。 しかし、12月の全米女子オープンでは最終日を単独首位で迎えるバウンスバック(立ち直り)をみせた。最終順位こそ4位となったが、パターが復調し、それがショットの不安を打ち消した。ランキングは再び五輪出場圏内へ戻ってきた。しかし、現在は五輪よりも、米ツアー参戦への思いが強い。「もちろん(五輪を)開催してほしいですが、米ツアーに参戦する目標の過程に五輪があるという感じで考えています」 アスリートにとって、1年365日はあまりに長い時間だ。だからこそ東京五輪の延期は、アスリートを天国と地獄に分かつのである。レポート/柳川悠二(ノンフィクションライター)と週刊ポスト取材班※週刊ポスト2021年1月15・22日号
2021.01.08 07:00
週刊ポスト

トピックス

紺色のお召し物だった紀子さま
紀子さま、悠仁さまに「悪夢の再来」 宮内庁17cm包丁送付事件、同封便箋には皇族批判
女性セブン
京都の街を歩く舞妓のイメージ(写真/イメージマート)
元舞妓の告発に有名歌舞伎役者たちが大慌て 関係が露見すれば廃業は必至か
女性セブン
逮捕された「RYO&YUU」
「バレないように森の中で」公然わいせつ逮捕「RYO&YUU」が語っていた野外動画撮影の“対策” 実際には公園、海岸でも裸に
NEWSポストセブン
よくぞ言った!江口のりこがぶっちゃけたテレビのタブー「番宣出演は意味がない」
よくぞ言った!江口のりこがぶっちゃけたテレビのタブー「番宣出演は意味がない」
NEWSポストセブン
ゴルフをする女性芸能人が増えている(左は小島、右は鷲見。ともに本人のインスタより)
タイトなウェア姿を投稿しまくりの小島瑠璃子と鷲見玲奈「ゴルフ女子」枠巡る熾烈な戦い
NEWSポストセブン
ポスト和久田麻由子アナに浮上 「元東大ミスコン」堀菜保子アナ(27)の“大きな武器”
ポスト和久田麻由子アナに浮上 「元東大ミスコン」堀菜保子アナ(27)の“大きな武器”
NEWSポストセブン
TBS・安住紳一郎アナウンサーの魅力の源は?(時事通信フォト)
「定年までTBSに」先輩・吉川美代子アナが期待する安住紳一郎アナのこれから
週刊ポスト
結婚を発表し、お相手を「建築会社」とした滝沢。「一般男性」とは言っていない
滝沢カレン結婚!「テラハ」出演“肉食系”ハーフモデルのどこに惹かれたのか
NEWSポストセブン
眞子さまの箱根旅行のお姿。耳には目立つイヤリングも(2018年)
小室圭さんの妻・眞子さん 華やかだった4年前の「箱根・女子旅ファッション」
NEWSポストセブン
逮捕された「RYO&YUU」
公然わいせつ逮捕「RYO&YUU」、性的動画アップは「親公認」だった 22歳の女は愛知・香嵐渓で全裸に
NEWSポストセブン
結婚し、日本メディアが情報をキャッチしづらいNYで、デイリーメールが追跡取材(写真/JMPA)
小室圭さん・眞子さん夫婦が「離婚で終わったとしても…」英デイリー・メールが報じた「茨の道」
NEWSポストセブン
高橋真麻
高橋真麻「おでんの卵8個食べても太らない」女性が憧れる美スタイルの理由
NEWSポストセブン