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富山の静寂の温泉宿、船でしか行けぬ不便さが人気の起爆剤に

船でしか行けない大牧温泉観光旅館

 富山県南部・庄川上流の小牧ダム湖岸に佇む大牧温泉観光旅館は、船でしか行けない一軒宿。その特殊なロケーションから、サスペンスドラマの舞台として幾度も登場してきた。

 庄川峡の奥深くに位置し、小牧堰堤付近の船乗り場から出る遊覧船は、8.1キロの距離を蛇行しながら30分かけて進む。大牧温泉で下船できるのは宿泊客のみ。閉ざされた空間は静寂そのものだ。

 大牧温泉は800年以上前、倶利伽羅峠の戦いに敗れた平家の武将が発見したとされる。昭和5(1930)年の小牧ダム完成によって温泉宿はダム湖に取り残された形になり、陸路では行けなくなった。だが、その不便さが人気の起爆剤となった。近藤義幸部長は「自然以外“何もない”という贅沢を楽しんでいただきたいですね」と話す。11月頃の紅葉、真冬の雪景色も圧巻だそうだ。

自然の眺望を楽しめる男性専用のテラス風呂

川沿いの部屋

船内には富山の民謡が流れ、秘境に誘う

庄川名物の鮎の塩焼き(1296円。6~9月、要予約)

富山湾で獲れる白エビや新鮮な魚介、地元産食材を堪能できる夕食(コース一部)

【大牧温泉観光旅館】
住所:富山県南砺市利賀村大牧44
1泊2食:2名1室 大人1名2万1750円(入湯税込)~
アクセス:JR北陸新幹線・新高岡駅から加越能バスで終点の「小牧堰堤」下車、バス停そばの船乗り場から庄川遊覧船で約30分。マイカーの場合も遊覧船で。

取材・文■上田千春 撮影■太田真三

※週刊ポスト2019年9月20・27日号

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