喫煙所が撤去されてホッとしていたのだが(写真提供/イメージマート)
受動喫煙防止を目的とした改正健康増進法の全面施行から5年が経過したことを受けて始まった厚生労働省の審議会が、加熱式タバコの規制強化について検討し始めたことが話題になっている。現行法で紙巻と異なる扱いを受けているからと加熱式なら禁煙の対象外になると勝手に考えているマナーのなっていない喫煙者たちがいる。紙巻きタバコ喫煙者であるライターの宮添優氏が、一部の自分勝手な加熱式タバコ喫煙者たちによって生じているトラブルについてレポートする。
* * *
「悪いのは”紙巻き”だけ、という風潮があるので、加熱式であってもダメなんだ、という考え方が広まれば安心できる人は増えるのではないでしょうか?」
加熱式タバコについても紙巻と同様の規制強化を国が検討しているとニュースを知り、東京・杉並区在住の主婦は自宅周辺の環境が改善されるのではないかと期待しているという。というのも、自宅の真横がタバコ店で、かつてそこに喫煙所があり「毎日のようにタバコの煙にいぶされていた」ほどだったからだ。その後、ちょうどコロナ禍の真っただ中の頃、「密になりやすい」という理由で喫煙所から灰皿が撤去され、大きく「喫煙不可」と書かれたポスターも張り出されたという。
「さすがにニオイもするし、喫煙ダメ、と書いたポスターの前で吸う人はいない。そう思っていました」(主婦)
かつて喫煙所だったそのスペースから喫煙者は姿を消したが、それほど間をおかず、朝や昼、夕方や夜など、割と決まったタイミングで、少なくない人々が集うようになった。そして彼らは全員「加熱式タバコ」を吸いに、すでに閉鎖された喫煙所まで戻ってきていたのだ。
「出勤前の朝、昼休み後、退職後、飲み会の最中、という感じで、元喫煙所に加熱式タバコのユーザーだけが戻ってきてしまった。何度か注意しましたがのらりくらりとかわされるだけでなく”におわねーからいいじゃん”などと開き直られる。いやいや、吸わない人からすると、加熱式も紙巻も同じくらい不快なタバコのニオイがするんですよ」(前出の主婦)
勝手に車内で加熱式タバコ
前述の元喫煙所で起きたようなトラブルは、今やほぼすべての車で禁煙が徹底されているはずのタクシー業界からも漏れ聞こえてくる。東京都内のタクシー会社幹部が説明する。
