アメリカのファッション業界で最近使われている「バニティー・サイジング」という言葉をご存じですか――。バニティーとは「虚栄心」のこと。スリムでありたいと願う女性心理に乗じて、本来のサイズより小さなサイズ表記をして購買意欲をあおるのが「バニティー・サイジング」だが、この流れ、日本にも…!?
OLのA子さん(34才)がアメリカ旅行で、あるファッションストアを訪れた時のこと。ふだん11号サイズを着ている彼女が、いつも通り11号のドレスを手に取って試着してみると、なんだかユルユル。(あれっ、やせたのかな?)と思っていると、女性店員が現れて、「お似合いですよ。でも、ちょっと大きいようですね。あなたなら8号でもよさそうですね」と微笑んだ。スリムな自分をほめられたような気分になったA子さんは、(せっかくだから、この際!)ともう2着購入したという。
ところが、帰国後にあらためてサイズを確認してみると、それらのドレスは、A子さんが持っている「11号」サイズとほぼ同寸。頭の中に???が渦巻いたA子さんが、ファッションに詳しい友人に聞いてみると、「バニティー・サイジング」のことを教えてくれ、なんだか損した気持ちになったという。
サイズ表記を意図的に操作して客の気持ちを高揚させ、財布のひもを知らぬ間にゆるめさせようとする「バニティー・サイジング」は、アメリカで最近見られる商法。インターネットでは、メーカーごとにサイズと実寸の“振り幅”が異なっているのを検証するサイトも登場して、消費者に注意喚起を促している。
本来、「○号」とか「S・M・L」のようなサイズ表記は、基準が統一されているものだと私たちは思っているが、アメリカの一部で見られる「バニティー・サイジング」の波は日本にも及ぶのだろうか?
そこで、経済産業省国際標準課に聞いてみると、「このようなケースが日本で起こる可能性は極めて低い」と言う。というのも、
「日本には、JISC(※読み方はジスク。日本産業標準調査会のこと)が3万6000人(うち成人女性は約1万1000人)に対して行った、日本人体型調査(※JISCの依頼で人間生活工学研究センターが調査を実施)による膨大なデータを基にしたJIS規格があるからです。