しかしながら、防犯で最も重要なのは各戸の施錠。オートロック機能が作動していても、住民の後ろについて入ることもでき、万全ではありません。施錠忘れは居住者の重大なミス。あなたが損害の賠償を請求しても、大きな割合で過失相殺されそうです。
管理会社の責任は、どんな管理体制を取っているかによります。管理人が常駐しているような場合や、そうでなくても遠隔監視しているのであれば、引っ越し業者の行動を承認、もしくは少なくとも黙認していたのではないかと思われ、責任はむしろ管理会社になる可能性もあります。
ただ、前提として、あなたが泥棒の被害に遭ったことと、犯人はオートロックの無効時間内に侵入した者だといえる証拠などを揃え説得できないと、引っ越し業者から賠償を受けることはできません。
【プロフィール】竹下正己●1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2019年10月4日号