ビジネス

西鉄はなぜ「ダイヤグラム時刻表」の無料配布を続けるのか

通勤用車両を改造した柳川観光列車「水都」

通勤用車両を改造した柳川観光列車「水都」

 すっかり目にすることが少なくなった紙の時刻表。スマホがあれば大丈夫と思いつつも、駅などで無料配布されている時刻表はちょくちょくもらって財布に入れている人も少なくないのではないか。その無料配布時刻表で、西日本鉄道はダイヤグラムを使用している。異色の時刻表は何のために作られ、どんな人が利用しているのか。ライターの小川裕夫氏がレポートする。

 * * *
 一時期、時刻表は月100万部を超える発行部数を誇っていた。時刻表を発売している出版社は多々あるが、そのなかでも鉄道ファンや業界内の間では、交通新聞社とJTBパブリッシングが発行・発売する時刻表が二大巨頭といわれる。

 これらの時刻表は、ビジネスマンや旅行者の多いホテルや飲食店では必置とされていた。しかし、時代は変わった。紙の時刻表は、その役目をスマホアプリに取って代わられている。

 時刻表のデジタル化は今に始まった話ではないが、スマホアプリが普及し、ヤフーなどから簡単に時刻を検索できるようになった。また、鉄道会社も独自に運行情報を配信。鉄道会社によっては、今、どこに、どんな電車が走っているのかをリアルタイムで教えてくれる。イノベーションは、紙の時刻表の存在感を薄めた。

 とはいえ、紙の時刻表も座して死を待っているわけではない。

 今年9月にはJTBパブリッシングが1964年10月号を再現した『時刻表 完全復刻版1964年10月号』を発売。1964年10月は東海道新幹線が開業した月でもあり、鉄道業界のみならず国内全土が大きく変貌していたことを実感していた時期でもある。復刻版の発売は記念品的な要素も濃いが、こうした芸当ができるのは紙ならではといえるだろう。

 復刻版の発売は、少しでも紙の時刻表を復権させようという思いが込められているが、”どこでも、ネットで検索”という手軽さと便利さには太刀打ちできない。今後もネットやスマホアプリが攻勢を強めるのは自然な流れだ。

 そんな紙の時刻表が逆風にさらされる中、九州・福岡県を地盤にしている西日本鉄道(西鉄)は通常の時刻表とは異なる不思議な時刻表を無料で配布している。

 西鉄以外にも、駅で時刻表を無料配布する鉄道会社はある。それら鉄道会社が無料で配布する時刻表は、簡素なつくり・内容になっている。

 一方、西鉄が無料配布している時刻表は、そうした無料配布の時刻表とは一線を画す。なぜなら、折りたたみ式の時刻表を開くと、そこには複雑なダイヤグラムが描かれているからだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ポジティブキャラだが涙もろい一面も
【独立から4年】手越祐也が語る涙の理由「一度離れた人も絶対にわかってくれる」「芸能界を変えていくことはずっと抱いてきた目標です」
女性セブン
『君の名は。』のプロデューサーだった伊藤耕一郎被告(SNSより)
《20人以上の少女が被害》不同意性交容疑の『君の名は。』プロデューサーが繰り返した買春の卑劣手口 「タワマン&スポーツカー」のド派手ライフ
NEWSポストセブン
河村勇輝(共同通信)と中森美琴(自身のInstagram)
《フリフリピンクコーデで観戦》バスケ・河村勇輝の「アイドル彼女」に迫る“海外生活”Xデー
NEWSポストセブン
木本慎之介
【全文公開】西城秀樹さんの長男・木本慎之介、歌手デビューへの決意 サッカー選手の夢を諦めて音楽の道へ「パパの歌い方をめちゃくちゃ研究しています」
女性セブン
大谷のサプライズに驚く少年(ドジャース公式Xより)
《元同僚の賭博疑惑も影響なし?》大谷翔平、真美子夫人との“始球式秘話”で好感度爆上がり “夫婦共演”待望論高まる
NEWSポストセブン
いまや若手実力派女優の筆頭格といえる杉咲花(時事通信フォト)
《大好評ドラマ》『アンメット』杉咲花を歌で支える女性アーティストたち 木村カエラらのCMはドラマと“最高のコラボ”
NEWSポストセブン
綾瀬はるかが結婚に言及
綾瀬はるか 名著『愛するということ』を読み直し、「結婚って何なんでしょうね…」と呟く 思わぬ言葉に周囲ざわつく
女性セブン
中村佳敬容疑者が寵愛していた元社員の秋元宙美(左)、佐武敬子(中央)。同じく社員の鍵井チエ(右)
100億円集金の裏で超エリート保険マンを「神」と崇めた女性幹部2人は「タワマンあてがわれた愛人」警視庁が無登録営業で逮捕 有名企業会長も落ちた「胸を露出し体をすり寄せ……」“夜の営業”手法
NEWSポストセブン
食品偽装が告発された周富輝氏
『料理の鉄人』で名を馳せた中華料理店で10年以上にわたる食品偽装が発覚「蟹の玉子」には鶏卵を使い「うづらの挽肉」は豚肉を代用……元従業員が告発した調理場の実態
NEWSポストセブン
17歳差婚を発表した高橋(左、共同通信)と飯豊(右、本人instagramより)
《17歳差婚の決め手》高橋一生「浪費癖ある母親」「複雑な家庭環境」乗り越え惹かれた飯豊まりえの「自分軸の生き方」
NEWSポストセブン
昨年9月にはマスクを外した素顔を公開
【恩讐を越えて…】KEIKO、裏切りを重ねた元夫・小室哲哉にラジオで突然の“ラブコール” globe再始動に膨らむ期待
女性セブン
やりたいことが見つかると周りがみえなくなるほど熱中するが熱しやすく冷めやすいことも明かした河合優実
大ブレイクの河合優実、ドラマ『RoOT/ルート』主演で感じる役柄との共通点「やりたいことが見つかると周りが見えなくほどのめり込む」
NEWSポストセブン