ダイヤグラムとは列車の運行状況を図表化したもので、一般的に縦軸が距離(駅)、横軸が時間となっている。通常の時刻表は発車時間と到着時間ぐらいしか情報が盛り込まれないが、ダイヤグラムはどこの駅で追い抜くか、どの駅でどのぐらい停車するかといった詳細な情報もわかるようになっている。
「ダイヤグラムの描かれた時刻表が、いつから作成・配布されるようになったのかは記録に残っていないので詳細は不明です。ただ、40年前には、すでに配布されていたようです」と話すのは、西鉄広報課の担当者だ。
大手私鉄に数えられる西鉄は、多くの鉄道会社が合併して誕生した。そのため、西鉄に本線は存在しないが、西鉄福岡(天神)駅をターミナルにした天神大牟田線が実質的に本線格。ダイヤグラムの描かれた時刻表は、この天神大牟田線用のものだ。
天神大牟田線は、西鉄福岡(天神駅)―大牟田駅間の74.8キロメートルの路線。沿線には大野城市・筑紫野市・久留米市・柳川市・大牟田市といった福岡県内の人口の多い都市が連なる。そのため、地方の鉄道路線とはいえ、通勤・通学ラッシュ時には東京圏・大阪圏並みに混雑する。日昼帯も地方路線の閑散としたイメージからは遠く、運転本数も利用者も多い。
「通常の時刻表と異なり、ダイヤグラムを掲載している理由は”特急から急行””普通から特急”といった乗り継ぎをスムーズにしてもらうためです。天神大牟田線には各駅に停車する普通のほか急行、特急といった電車が走っています。発車時刻・到着時刻だけが記載されている簡素な時刻表では、そうした特急から普通へ、普通から急行へと乗り継ぎ時間を的確に把握することができません」(同)
西鉄は「いかに、乗り継ぎをスムーズにさせるのか?」を常に至上命題として抱えていた。なぜなら、西鉄の本線格でもある天神大牟田線には、いまだ単線区間があり、それがダイヤ上のネックになっているからだ。
単線区間はそれほど長くなく、また郊外部にある。それでも、単線区間が存在することは特急などの増発、所要時間の短縮を阻む要因になる。