ライフ

武蔵小杉で露呈したタワマンの脆弱性 災害リスク認識すべき

タワマンが建ち並ぶJR武蔵小杉駅前も冠水(時事通信フォト)

タワマンが建ち並ぶJR武蔵小杉駅前も冠水(時事通信フォト)

 猛烈な勢いだった台風19号によって多くの被害が出たが、武蔵小杉(川崎市中原区)エリアに林立するタワーマンションでも停電と断水が続き、エレベーターやトイレが使えなくなる建物が出るなど、意外なところでタワマンの脆弱性が注目されてしまった。住宅ジャーナリストの榊淳司氏は、「タワマンはじつは災害に弱い建物であることを認識すべき」と警鐘を鳴らす。

 * * *
 一般に「タワマンは災害に強い」と思われている。しかし、私は正反対の考えを持っている。拙著『限界のタワーマンション』(集英社新書)でも1章を設けて書いたが、タワーマンションは災害に弱い住形態なのである。

 災害とは主に地震を想定していたのだが、じつは台風に対しても脆弱な面があることが、今回の台風19号の襲来によって如実になった。

 まず、今回の台風は東京の都心近辺を通過したため、タワマンの上層階では相当の揺れがあったようだ。都心のタワマンに居住していると思われる、とある有名なユーチューバーは、「まるで震度1から2くらいの揺れですよ」といって、ちょっと怯えたような動画をアップさせていた。

 地震でも台風でも、タワマンは揺れる。下層階よりも上層階のほうが揺れは大きいはずだ。地震の場合は長くても数十秒の揺れだが、台風の場合は数時間続くことがある。三半規管の弱い方なら乗り物酔いと同じ症状になるはずだ。

 だが、地震でも台風でもタワマンの建築構造面ではあまり心配はない。最近建築されたタワマンはたいていが免震もしくは制振構造になっている。地震や台風では、ある程度揺れることによって、そのエネルギーを逃がす仕組みになっているので、それなりに揺れるのは仕方ない。

 構造面でいうと、今の建築基準法ではきちんと施工できていれば、地震によって躯体などに著しい損壊が発生することはない──という強度を想定している。私はこれを絶対だとは思わないが、これまでに地震や台風で躯体構造に問題が生じたタワマンはないと認識している。

関連キーワード

関連記事

トピックス

不倫が報じられた錦織圭、妻の元モデル・観月あこ(時事通信フォト/Instagramより)
《結婚写真を残しながら》錦織圭の不倫報道、猛反対された元モデル妻「観月あこ」との“苦難の6年交際”
NEWSポストセブン
国民民主党から参院選比例代表に立候補することに関して記者会見する山尾志桜里元衆院議員。自身の疑惑などについても釈明した(時事通信フォト)
《国民民主党の支持率急落》山尾志桜里氏の公認取り消し騒動で露呈した玉木雄一郎代表の「キョロ充」ぷり 公認候補には「汚物まみれの4人衆」との酷評も出る
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《永野芽郁に新展開》二人三脚の“イケメンマネージャー”が不倫疑惑騒動のなかで退所していた…ショックの永野は「海外でリフレッシュ」も“犯人探し”に着手
NEWSポストセブン
“親友”との断絶が報じられた浅田真央(2019年)
《村上佳菜子と“断絶”報道》「親友といえど“損切り”した」と関係者…浅田真央がアイスショー『BEYOND』にかけた“熱い思い”と“過酷な舞台裏”
NEWSポストセブン
「松井監督」が意外なほど早く実現する可能性が浮上
【長嶋茂雄さんとの約束が果たされる日】「巨人・松井秀喜監督」早期実現の可能性 渡邉恒雄氏逝去、背番号55が空席…整いつつある状況
週刊ポスト
発見場所となったのはJR大宮駅から2.5キロほど離れた場所に位置するマンション
「短髪の歌舞伎役者みたいな爽やかなイケメンで、優しくて…」知人が証言した頭蓋骨殺人・齋藤純容疑者の“意外な素顔”と一家を襲った“悲劇”《さいたま市》
NEWSポストセブン
6月15日のオリックス対巨人戦で始球式に登板した福森さん(撮影/加藤慶)
「病状は9回2アウトで後がないけど、最後に勝てばいい…」希少がんと戦う甲子園スターを絶望の底から救った「大阪桐蔭からの学び」《オリックス・森がお立ち台で涙》
NEWSポストセブン
2人の間にはあるトラブルが起きていた
《浅田真央と村上佳菜子が断絶状態か》「ここまで色んな事があった」「人の悪口なんて絶対言わない」恒例の“誕生日ツーショット”が消えた日…インスタに残された意味深投稿
NEWSポストセブン
フランスが誇る国民的俳優だったジェラール・ドパルデュー被告(EPA=時事)
「おい、俺の大きな日傘に触ってみろ」仏・国民的俳優ジェラール・ドパルデュー被告の“卑猥な言葉、痴漢、強姦…”を女性20人以上が告発《裁判で禁錮1年6か月の判決》
NEWSポストセブン
ホームランを放った後に、“デコルテポーズ”をキメる大谷(写真/AFLO)
《ベンチでおもむろにパシャパシャ》大谷翔平が試合中に使う美容液は1本1万7000円 パフォーマンス向上のために始めた肌ケア…今ではきめ細かい美肌が代名詞に
女性セブン
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
告発文に掲載されていたBさんの写真。はだけた胸元には社員証がはっきりと写っていた
「深夜に観光名所で露出…」地方メディアを揺るがす「幹部のわいせつ告発文」騒動、当事者はすでに退職 直撃に明かした“事情”
NEWSポストセブン