昔のように東大がダメなら京大という選択は今はない。東大がダメなら東京工業大や一橋大を目指すのが普通だ。京大は高校3年の早い段階から目指すようになってきている。入試では京大は学部学科別に募集しており、東大のように入学後は文科I類など学類別に分かれ、学部学科への進学は3年生からというのとは異なる。大学で何を学びたいか決まっている受験生にとっては、京大のほうが自分のやりたいことをすぐに学べる利点がある。

 ノーベル賞を受賞した吉野氏は北野高校出身だが、その北野は2年連続で京大合格者数トップだ。興味深いことに、27人いるノーベル賞受賞者は公立高出身者が圧倒的に多い。

 私立高では1973年に物理学賞を受賞した江崎玲於奈氏が同志社(京都)、2001年に化学賞を受賞した野依良治氏が灘(兵庫)出身と、この2人だけが私立校出身者だ。ちなみに野依氏も京大出身だ。生理学・医学賞を受賞した山中伸弥氏は、大阪教育大付天王寺高出身で国立高出身は1人だけ。

 日本で最初にノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹氏は洛北(京都)~京大で、2番目に物理学賞を受賞した朝永振一郎氏もまったく同じ。ノーベル賞を2人も輩出した高校は洛北だけだが、かつては府立高校だった洛北も今や公立一貫校に変わっている。

 時代とともに、京大入学者の高校の顔ぶれが変わってきているように、ノーベル賞受賞者の出身高校も変わっていきそうだ。

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