芸能

映画『ジョーカー』の主人公はなぜ「ピエロ」のメイクなのか

心優しい青年が、悪のカリスマ「ジョーカー」に(C)2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM &(C)DC Comics

 映画『ジョーカー』の快進撃が止まらない。2019年のベネチア国際映画祭で最高賞「金獅子賞」を獲得し話題となったが、公開後も世界中で大ヒットが続き、全世界の興行収入は900億円突破が見込まれている。作家の島崎晋氏が、本作のヒットの裏側を考察する。

 * * *
 日本でも大ヒット上映中のハリウッド映画『ジョーカー』。ジョーカーとはアメコミが原作のバットマン・シリーズに登場する悪役の名前で、これまで何度もテレビや映画で映像化されてきた有名キャラクターだ。このジョーカーを主人公にオリジナル脚本で作られた本作の公式サイトには、こう書かれている。

「『どんな時も笑顔で人びとを楽しませなさい』という母の言葉を胸にコメディアンを夢見る、孤独だが心優しいアーサー。都会の片隅でピエロメイクの大道芸人をしながら母を助け…(中略)…笑いのある人生は素晴らしいと信じ、ドン底から抜け出そうともがくアーサーはなぜ、狂気あふれる〈悪のカリスマ〉ジョーカーに変貌したのか?」

 ここではピエロ(英語ではクラウン)からジョーカーに変貌を遂げたとあるが、ジョーカーといえばトランプのジョーカー(日本でいう「ババ」)が思い浮かぶ。ジャックやクイーン、さらにはキングやエースよりも強いカードだが、そこにはトリックスターと嫌われ者の要素はあっても、ヴィラン(悪役)のイメージは薄い。

 映画『ジョーカー』の、顔面白塗りで口周りに大きな口紅のメイクはピエロそのものだが、なぜ〈悪のカリスマ〉にジョーカーと名乗らせたのか。そもそも、ジョーカーとピエロの違いは何なのか。

 一説によれば、ジョーカーのルーツは中世ヨーロッパの宮廷道化師にある。王侯貴族の館で養われるペットのごとき存在で、常に奇抜な衣装とメイクで身を包み、たとえその言動が主人を揶揄・風刺する内容であろうと決して罰せられることのない特権を有していた。どんなジョークも許されたからジョーカーと呼ばれたとする説もある。

 一方のピエロ(クラウン)は民間の芸人一座やサーカス団の道化師がルーツで、白塗りの顔に目の下の涙マークやだぶだぶの衣装などが特徴だ。おどけと突っ込みなどの役割を演じる。

関連記事

トピックス

新横綱・大の里(時事通信フォト))
《地元秘話》横綱昇進の“怪物”大の里は唯一無二の愛されキャラ「トイレにひとりで行けないくらい怖がり」「友達も多くてニコニコしてかわいい子だったわ」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ミスタープロ野球として、日本中から愛された長嶋茂雄さんが6月3日、89才で亡くなった
長島三奈さん、自身の誕生日に父・長嶋茂雄さんが死去 どんな思いで偉大すぎる父を長年サポートし続けてきたのか
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
金髪美女インフルエンサー(26)が “性的暴力を助長する”と批判殺到の「ふれあい動物園」企画直前にアカウント停止《1000人以上の男性と関係を持つ企画で話題に》
NEWSポストセブン
逮捕された波多野佑哉容疑者(共同通信)。現場になったラブホテル
《名古屋・美人局殺人》「事件現場の“女子大エリア”は治安が悪い」金髪ロングヘアの容疑者女性(19)が被害男性(32)に密着し…事件30分前に見せていた“親密そうな様子”
NEWSポストセブン
東京・昭島市周辺地域の下水処理を行っている多摩川上流水再生センター
《ウンコは資源》排泄大国ニッポンが抱える“黄金の資源”を活用できてない問題「江戸時代の取引金額は10億円前後」「北朝鮮では売買・窃盗の対象にも」
NEWSポストセブン
マッチングアプリぼったくり。押収されたトランプやメニュー表など。2025年5月15日、東京都渋谷区(時事通信フォト)
《あまりに悪質》障害者向けマッチングアプリを悪用した組織的ぼったくりの手口、女性がターゲットをお店に誘い出し…高齢者を狙い撃ちする風俗業者も
NEWSポストセブン
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《佳子さまの寝顔がSNSで拡散》「本当に美しくて、まるで人形みたい」の声も 識者が解説する佳子さま“現地フィーバー”のワケ
NEWSポストセブン
“じゃないほう”だった男の挑戦はまだまだ続く
「いつか紅白で『白い雲のように』を歌いたい」元猿岩石・森脇和成が語る有吉弘行との「最近の関係性」
NEWSポストセブン
白鵬の活動を支えるスポンサー企業は多いと思われたが…
白鵬「世界相撲グランドスラム」構想でトヨタ以外の巨大スポンサー離反の危機か? “白鵬杯”スポンサー筆頭格SANKYOは「会見報道を見て知った。寝耳に水です」
週刊ポスト
6月13日、航空会社『エア・インディア』の旅客機が墜落し乗客1名を除いた241名が死亡した(時事通信フォト/Xより)
《エア・インディア墜落事故》「ボタンが反応しない」「エアコンが起動しない」…“機内映像”で捉えられていた“異変”【乗客1名除く241名死亡】
NEWSポストセブン
金スマ放送終了に伴いひとり農業生活も引退へ(常陸大宮市のX、TBS公式サイトより)
《金スマ『ひとり農業』ロケ地が耕作放棄地に…》名物ディレクター・ヘルムート氏が畑の所有者に「農地はお返しします」
NEWSポストセブン