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「1分間で10万字読破」を謳う「量子速読」が中国で話題に

情報化社会の行く末は?

 インターネットにより情報へのアクセスは容易になった。だがその選別となるとまた別の話なのかもしれない。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。

 * * *
 ある種の懐かしささえ覚えてしまうニュース映像である。画面の中では同じ色のスポーツシャツに身を包んだ小学生たちが、一列に並んで本のページをめくっている。

 こんな風に書けば、ごくありふれた小学校の授業風景の一つと思われるかもしれない。だが、そうではない。その児童たちの横にはそれぞれ同じ姿勢で子供たちを見守っている大人たちがいる。そして最も大きな違和感は、分厚い本のページをめくっている子供たちの異様なスピードなのだ。

 10月16日付『人民日報』のネットニュースに上がった記事では、〈1分間に10万字の本を読破? “量子速読”って誰が簡単に信じられるのか!〉とのタイトルがつけられていた。

 とにかく子供たちが分厚い本を読むスピードが尋常ではない。まるで、本に挟んでおいた紙きれでも探すような手際でめくってゆくのである。映像からも本のページが翻ることで風が起きていることも分かるのだ。『人民日報』がこれをニュースとして取り上げたのは、これがいまネットで大きな話題となっているからだ。

 6歳から10歳までの児童を対象にした速読法で、その名も「量子速読」である。

 タイトルからして同紙が怪しんでいることが伝わるのだが、記事中でも、「速くページをめくればめくるほど、あなたと宇宙との距離が縮まる」とか、「この方法は単に速読が可能ということにとどまらず、極めれば目を閉じていても本の内容が伝わるようになる」など、にわかには信じがたい売り文句がいくつも紹介されている。

 子供に少しでもアドバンテージを与えたいのは親心だが、何でも「量子」を付ければよいという話でもないだろう。

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