コラボによる代表的なヒット商品は、花王製品が目立つ。翌2017年には「ビオレu泡ハンドソープ」も通常品の8倍を売り上げた。透明なボトルや陶器に詰め変える人が多いことに着目し、有田焼デザインを転写したものを3種類用意、パッケージに貼り付けたところウケたのだという。
このヒットによって、さらに2018年は、「ビオレu泡で出てくるボディウオッシュ」で、レース模様のパッケージにしたバス回り商品も投入している。
キッチンやバス回り商品だけに主力ターゲットは女性だが、通常品のように価格が安ければいいと割り切る主婦は、スーパーやドラッグストア、ネット通販ならアマゾンや楽天などで購入するケースが多くなる。
一方で、毎日使うものであっても、お洒落でほのぼのと癒されるデザインの商品に囲まれたいという人も一定層はおり、そうした層がLOHACOの得意客というわけだ。
仕入れのスケールメリットで価格競争力が強いアマゾンや楽天に対し、LOHACOは同じ土俵ではなかなか勝負できない。そこで考案したのがメーカーとのコラボ商品だともいえる。また、メーカー側も量を捌いてくれるアマゾンや楽天も無視できないものの、価格軸以外のところにも販路を広げないと疲弊しかねず、利害も一致する。
「コラボ商品のLOHACO全体に占める売り上げは非開示です。コラボだけでなく、メーカーがLOHACO向けに作ってくれているPB(プライベートブランド)商品もありますし。
コラボ商品の価格はものにもよりますが、通常品より5%から10%ぐらい価格が高めでしょうか。そこは、費用対効果でお客様に納得してもらえる価格ゾーンをいつも考えています」(同前)
メーカー側の思惑は、サッポロビールの幹部が次のように語る点に集約されるかもしれない。
「LOHACOは生活に密着している通販サイトなので、コラボ商品の販売を通してお客様にどんな反応があるのか、テストマーケティング的に継続的に見ていきたい。
ビールは装置産業ですから、単品の大量生産のほうが採算的にはいいに決まっていますが、ビール市場が縮小し、ニーズも多様化する中で、もう大ロット商品でやっていける時代ではありません。
ビール業界に限ったことではないと思いますが、小ロットでもいろいろな取り組みをしていかないといけない。当社でも、一般消費者から募ったアイデアをもとに、極小ロットでビールを作る『HOPPIN’ GARAGE』というサービスも開始していますし、LOHACOとの取り組みもそうした多様性のひとつと考えています」