気象庁の資料をもとに作成した「年間降水量」

「台風は海面の水蒸気をエネルギーにして発達します。温暖化の影響で海水の温度が高くなるほど水蒸気の蒸発が盛んになり、台風が大きく強くなるのです」(森田さん)

 ひと昔前なら台風が発生しても、日本に来る前に消滅するパターンが多かったが、最近は、あれよあれよという間に上陸し、猛威を振るっている。

 自然災害に詳しい武蔵野学院大学特任教授の島村英紀さんが指摘する。

「台風は赤道付近で発生して北上し、通過する海水面が26℃以下なら勢いが減衰します。ところが今は温暖化で海水面が27℃以上になっていることが多く、台風が勢力を維持したまま日本列島に接近するようになりました。加えて以前は首都圏を直撃するケースは少なかったですが、温暖化で高気圧の前線がずれて東京に接近することも増えた。今年9月の台風15号が千葉県の東側を抜けていったのもそのせいで、“台風の東側は雨風が強い”との法則通り、房総半島を中心に大きな被害をもたらしました」

 台風を伴わない豪雨や洪水の影響も深刻だ。気温が上昇して海面の温度が高くなると、海面からの蒸発が盛んになり、大気中に大量の水蒸気が供給される。この水蒸気をたっぷり含んだ雲が近づくと前線の活動が活発化する。実際、気象庁の調査によれば2019年10月の降水量は平年の2倍を記録している。

「日本では50年に1度、1時間に60mmの雨が降ることを前提にして治水対策やダム、堤防を準備してきましたが、近年はその前提を上回る降雨が続発しています。気象がこのように“凶暴化”する時代に50年に1度の想定では甘いかもしれません」(島村さん)

 世界的な異常気象を生むもう1つの要因は、上空を西から東へ吹く偏西風だ。

「偏西風は地球をぐるぐると回って暖気や寒気を運び、地域に季節の変化をもたらします。ところが温暖化で偏西風の動き方が変わったことで、暖気や寒気の流れが変化し、局所的に極端な豪雨や猛暑などをもたらすようになった」(森田さん)

 今年6月にフランス南部で45.9℃をマークするなど、ヨーロッパを襲った記録的な熱波も、偏西風の動きが変わり、アフリカ大陸からヨーロッパに熱い空気が大量に流れ込んだためといわれる。

※女性セブン2019年11月28日号

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