行方が分からなくなっていた大阪市住吉区の小学6年の女児が保護された栃木県小山市の交番(時事通信フォト)
民放局ディレクターも、同じような思いを吐露する。年齢制限を破って登録したSNSを利用したからといって、悪いのは一私企業の利用規約を守らなかった子供ではない、法律を守れない大人の側だと断言する。
「我々が被疑者の異常性を描くほど、被害女児が悪いのではないか、という空気が生まれる懸念がある。そこに便利な道具があれば使うのは当たり前だし、子供の行動を禁じるだけではナンセンス。だとすれば、大人が子供たちを守っていくしかないはずなのに、卑怯な大人たちはなぜか子供を自分と同じ土俵に上げて考えたがる。これは弱いものいじめ、弱者を食うという卑劣な行いなんです。こんなこと、いちいち報道で解説しなくてもわかるだろうとも思うのですが」
逮捕された容疑者の男も、ネットを通じて知り合った女児を、自らと「対等」、もしくは男と女としての関係と捉えたのか。支配欲、あるいは少女を守ってやろうといういびつな正義感による行動だったのかもしれない。こういうときこそ大人は皆、子供が護られるべき存在であることを忘れてはならないし、容疑者の罪を見過ごしにして、被害者を貶めるような歪んだ考え方が大手を振って主張されるようなことを許してはならない。
女児を誘拐したとして逮捕された伊藤仁士容疑者の自宅(時事通信フォト)
未成年者誘拐容疑で逮捕された伊藤仁士容疑者の自宅へ家宅捜索に入る大阪府警の捜査員ら(時事通信フォト)