また、ティックトックの会社は、もともとAIを得意としているため、ユーザーは自分で次に見たい動画を検索しなくても、向こうが勝手に「次はこれね?」と自分にあった動画を流してくれるのだ。この「レコメンド機能」を利用するにはそれぞれのユーザーの情報が必要となるが、中国では「便利になるのであれば、個人情報をプラットフォームに明け渡すことに賛成する」という人が大部分を占めるので、抵抗もないのだという。
どうだろう。「文字ではなく動画、それも1分以内」「機械にすすめられたものしか見ない」「個人情報は明け渡す」など、これまでの日本社会ではネガティブにとらえられるようなことが、いずれも社会のハイテク化の常識とされているのだ。「なるほど、これが現実か」と思うか、それとも「それは違うだろう」と警鐘を鳴らしたくなるか。夏に出た『幸福な監視国家・中国』(NHK出版新書)と合わせて読むことをおすすめする。
※週刊ポスト2019年12月6日号