歯ブラシの生産量が日本一である大阪府八尾市のメーカー・多葉刷子(たばぶらし)工業所から、小型犬用の歯ブラシ『ミガケンデ』(1280円)が発売された。ヤギとウマの天然毛を使用した歯ブラシは、開発者自身のショッキングな体験がきっかけで完成した商品だった──。
『ミガケンデ』を開発したのは、大阪府八尾市で創業70年の歴史がある歯ブラシメーカー・多葉刷子工業所だ。
開発のきっかけとなったのは、同社の代表を務める多葉宣宏さんの妻の実家でかわいがられていたトイプードルだという。高齢だったトイプードルの口臭が気になった義母が、ある日、歯石を取ってもらおうと動物病院に連れていった。
犬の歯の治療は全身麻酔をしなくてはならず、麻酔をした上で歯石取りをしてもらったところ、歯が2本抜けてしまった。歯の治療をするのに全身麻酔をしなくてはいけないということに、多葉さんは驚いた。
それ以来、犬の歯に意識が向くようになり、調べてみると、犬の歯周病リスクは寿命にもかかわることがわかった。
愛犬といつまでも楽しく暮らすために、人間と同様、犬も歯磨きで歯周病を予防することはできないか? そう考えた多葉さんは、2018年10月に犬用の歯ブラシの開発をスタートした。
まずは犬の健康の専門家である獣医師に相談しようと思い、動物病院を何軒も訪ねた。しかし、多くの獣医師は歯磨きは重要だと考えるものの、現実的には犬は歯ブラシを嫌がり、なかなか磨くことができないため、具体的な話は進まなかった。