低脂肪乳と病気リスクの関連を示した論文は他にもある。米ハーバード公衆衛生大学院などの研究チームが約13万人をおよそ25年追跡した調査では、1日3食分の低脂肪乳製品を摂取する人は、1食分未満の人よりも、パーキンソン病の発症リスクが34%上昇した。
パーキンソン病は、運動機能に関わる中脳の細胞が減少することで発症する。動作が緩慢になったり、震えが起きるといった軽い症状から、寝たきりのような重篤な症状まで様々。50歳以上に多く、患者は日本に15万人以上いるとされる。元ハーバード大学研究員で、ボストン在住の内科医である大西睦子医師が指摘する。
「乳製品は尿酸値を下げる効果があるが、尿酸値が低くなりすぎるとパーキンソン病の発症リスクが高くなる。完治が難しいパーキンソン病は、まだわかっていないことも多く、この研究からただちに低脂肪乳との相関関係が示されたとは言えませんが、低脂肪乳を多く飲む人は念頭に置いておくべきでしょう」
コレステロール値との関係が長年議論されてきた「卵」にも、最新の研究結果が発表されている。
今年3月に米ノースウェスタン大学の研究者らが発表した調査では、1週間に3~4個の卵を食べると心血管疾患のリスクが6%、全死亡リスクが8%上昇した。前出・大西医師は「この研究は海外でも議論を呼びました」と指摘する。
「現在も米国心臓協会は『1日1個の卵は心臓にとって健康的』として摂取を推奨し、多くの専門医が支持しています。ただし、食べすぎのリスクを指摘している研究が多いのも事実です。卵だけを食べる『卵ダイエット』や、極端に多く食べ続けるのは避けたほうが無難でしょう」
※週刊ポスト2019年12月13日号