芸能

春風亭一之輔 七夜連続独演会はバカ噺で最高のフィナーレ

春風亭一之輔の七夜連続独演会の様子を紹介(イラスト/三遊亭兼好)

 音楽誌『BURRN!』編集長の広瀬和生氏は、1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接している。広瀬氏の週刊ポスト連載「落語の目利き」より、前回の春風亭一之輔のネタ下ろし独演会シリーズ総集編の一夜から三夜に引き続き、四夜から最終日の七夜までの様子についてお届けする。

 * * *
〈第四夜〉一席目『普段の袴』は八五郎の言動のバカバカしさが桁外れな上に、周囲の皮肉な対応がまた最高。袴を借りに行くだけでこんなに笑わせるのは一之輔だけ。二席目は『二番煎じ』で、これは「四夜」でのネタ下ろし。志ん朝系の演出をほとんど変えず素直に演じた。

 圧巻だったのが三席目『らくだ』。一之輔版は屑屋のキャラが可愛くて全体のトーンが明るいのが魅力だが、今日は一段とハジケていて笑いどころが多く、酔った屑屋と半次の“立場逆転”の描き方も見事。終盤もテンションが下がらずサゲまで完演。聴き応え満点の熱演だ。

〈第五夜〉一席目『かぼちゃや』の与太郎は今日も真っ直ぐボケて可愛さ炸裂。二席目はデタラメを並べる隠居の暴走に八五郎が「これ『千早ふる』だろ!? ちゃんとやれよ!」と叱る『千早ふる』。度々脱線して「一之輔目線の漫談」を聞かせる隠居に八五郎が思わず「これ落語?」と尋ねてしまうメタ落語な一席。

 三席目は「三夜」でネタ下ろしした『柳田格之進』。一朝の「柳田の娘が他家へ嫁ぐ」ハッピーエンドにもう一幕加えて万屋と柳田との友情が復活するラストは感動的だ。一之輔に似合う大ネタに育った。

関連キーワード

関連記事

トピックス

麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
「同棲していたのは小柄な彼女」大麻所持容疑の清水尋也容疑者“家賃15万円自宅アパート”緊迫のガサ当日「『ブーッ!』早朝、大きなクラクションが鳴った」《大家が証言》
NEWSポストセブン
当時の水原とのスタバでの交流について語ったボウヤー
「大谷翔平の名前で日本酒を売りたいんだ、どうかな」26億円を詐取した違法胴元・ボウヤーが明かす、当時の水原一平に迫っていた“大谷マネーへの触手”
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
《同居女性も容疑を認める》清水尋也容疑者(26)Hip-hopに支えられた「私生活」、関係者が語る“仕事と切り離したプライベートの顔”【大麻所持の疑いで逮捕】
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
【大麻のルールをプレゼンしていた】俳優・清水尋也容疑者が“3か月間の米ロス留学”で発表した“マリファナの法律”「本人はどこの国へ行ってもダメ」《麻薬取締法違反で逮捕》
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン
賭博の胴元・ボウヤーが暴露本を出版していた
大谷翔平から26億円を掠めた違法胴元・ボウヤーが“暴露本”を出版していた!「日本でも売りたい」“大谷と水原一平の真実”の章に書かれた意外な内容
NEWSポストセブン
清武英利氏がノンフィクション作品『記者は天国に行けない 反骨のジャーナリズム戦記』(文藝春秋刊)を上梓した
《出世や歳に負けるな。逃げずに書き続けよう》ノンフィクション作家・清武英利氏が語った「最後の独裁者を書いた理由」「僕は“鉱夫”でありたい」
NEWSポストセブン
ロコ・ソラーレ(時事通信フォト)
《メンバーの夫が顔面骨折の交通事故も》試練乗り越えてロコ・ソラーレがミラノ五輪日本代表決定戦に挑む、わずかなオフに過ごした「充実の夫婦時間」
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《麻薬取締法違反の疑いでガサ入れ》サントリー新浪剛史会長「知人女性が送ってきた」「適法との認識で購入したサプリ」問題で辞任 “海外出張後にジム”多忙な中で追求していた筋肉
NEWSポストセブン
サークル活動にも精を出しているという悠仁さま(写真/共同通信社)
悠仁さまの筑波大キャンパスライフ、上級生の間では「顔がかっこいい」と話題に バドミントンサークル内で呼ばれる“あだ名”とは
週刊ポスト
『週刊ポスト』8月4日発売号で撮り下ろしグラビアに挑戦
渡邊渚さんが綴る“からっぽの夏休み”「SNSや世間のゴタゴタも全部がバカらしくなった」
NEWSポストセブン
米カリフォルニア州のバーバンク警察は連続“尻嗅ぎ犯”を逮捕した(TikTokより)
《書店で女性のお尻を嗅ぐ動画が拡散》“連続尻嗅ぎ犯” クラウダー容疑者の卑劣な犯行【日本でも社会問題“触らない痴漢”】
NEWSポストセブン