アーティスト・島英雄さんがダンボールで制作した一号機関車
展覧会の監修者である川西康之さんは建築家・デザイナーとして活躍しているが、土佐くろしお鉄道やえちごトキめき鉄道で駅舎や車両のデザインを手がける。2020年春から新たに運行開始が予定されている「WEST EXPRESS 銀河」も、川西さんが車両デザインを担当。そんなデザイナーが監修に起用されていることからも、この展示会場そのものがひとつのアート作品とも言える。
会場内には、アーティスト・島英雄さんがダンボールを用いて制作した原寸大一号機関車も展示。また、鉄道車両ドアを使ったデジタルインスタレーションやスカイギャラリーの窓面にCG映像を流すといった現代アート作品の鑑賞もできる。こうした作品群が展示されていることも、従来の鉄道系博物館とは趣を異にしている。
今回の「特別展 天空ノ鉄道物語」は、まさに鉄道と芸術が融合したイベントと言えるが、鉄道と芸術が融合する事例は鉄道黎明期から存在した。大正期、鳥瞰図師として名を馳せた吉田初三郎は鉄道省や私鉄各社から請われて多数の鳥瞰図を作成。吉田が制作する鳥瞰図は芸術作品そのものだが、これが鉄道の宣伝媒体としても広く用いられた。その結果、鉄道利用者の拡大に貢献している。
鉄道と芸術の関係は、今も受け継がれる。東京駅北口には、東京ステーションギャラリーという、東日本鉄道文化財団が運営するミュージアムがある。
東日本鉄道財団は、JR東日本が文化財の保存を目的に1992年に設立。大宮の鉄道博物館や旧新橋停車場といったように、東日本鉄道文化財団が運営する施設は鉄道との関係が濃いものが多い。
しかし、東京ステーションギャラリーは鉄道とは関係が薄いアート作品の展覧会も頻繁に開催している。