新しいビジカジスタイルは機能性の高さと着回しの豊富さで人気に
こうして、ビジネスマンのスタイルにスキニージーンズやその延長線上にあるスエットパンツやジャージパンツが支持されているのは、もちろんファッション性に富んでいることもさることながら、利便性の追求もあったでしょう。
かつてジーンズが若者に支持された理由として、綿100%のジーンズは重くて固くて洗濯すると乾きにくいことを除くと、
・汚れても目立たない
・破れても目立たない
・毎日同じものを穿いていても目立たない
・上に合わせるトップスを選ばない(何にでも合う)
・洗濯してシワシワのままアイロンをかけずに穿いてもおかしくない
といった高い利便性がありました。汚れても破れても気にすることなく穿き続けられますし、シワシワのまま穿いていてもおかしくありません。またコーディネートを工夫する必要はないし、“着た切り雀”でも笑われることはありません。こんな便利なズボンはほかにはなかったのです。
片やスエットパンツ類はジーンズとは利便性が異なるものの、ジーンズを遥かに上回る動きやすさと快適性があります。汚れたり破れたりというところはジーンズには遠く及びませんが、アイロン要らずという点はジーンズと同様で、スエットやジャージは編み生地なのでシワが入りにくいという特性もあります。
そして、何よりも支持が広がっていくとコーディネート提案が増え、着回しの利便性も高まります。そのため、若い世代にはジーンズよりこちらのほうがますます支持されているといえます。
このように、同じビジカジスタイルでも若い男性はスポーツテイストが基本となっているため、従来型のワークカジュアルやアメリカンカジュアルが主流だった40代以上のコーディネートとは自ずと違ってくるわけです。
シャツ+ネクタイ+ジャケットとジーンズの組み合わせが40代以上に多い背景には、そんな世代間で異なるファッションの変遷があったと考えられます。