◆「タミフル」の“異常行動”は気にするべきか?
2007年に服用後の異常行動が指摘され、因果関係に関する研究が進められてきた。
昨年5月、厚労省の専門家調査会は「異常行動との因果関係は明確でない」と発表。原則として中止されてきた10代への投与も解除された。同省研究班の分析は、「薬の服用や種類にかかわらず、インフル罹患時には異常行動を起こす可能性がある」とした。
「タミフルは全世界で使用され、最もエビデンスがある薬です。当院でもよく処方しています」(永井医師)
◆「イナビル」「ラピアクタ」が適する患者は?
前出・大和田医師が語る。
「成人では1度に2本吸入するだけで済む『イナビル』は、仕事が忙しく何度も服用するのが嫌だという患者に向いています。飲み薬だと、いったん熱が下がった際に服用をやめてしまう人もいますが、1度吸入するだけなので面倒が少ない」
ただし、前出・永井医師は「吸入薬ならではのデメリットもある」と言う。
「とくに高齢者は1回でどの程度きちんと吸入できるか心配な部分があります。薬を飲む習慣がついている人は、飲み薬を選択しても良いでしょう」
静脈注射の「ラピアクタ」はどうか。
「入院中の患者や介護施設の入所者に使われることが多い薬です。静脈注射は内服よりも薬の血中濃度が高まるため効果が期待できる」(大和田医師)
※週刊ポスト2019年12月20・27日号