高血圧の原因を特定することは難しく、現代医学において、血圧が下がらない人の9割は本態性(原因がわからない)といわれる。

 この問題が厄介なのは、「食塩を摂取しても血圧が上がる人と、上がらない人の両方がいる」という点だ。

「食塩摂取によって血圧が上がる体質を指す『食塩感受性』は人によって違い、少しの塩分で血圧が急激に上がる人と、そうでない人がいます。本来、減塩するかどうかは食塩感受性に基づいて、個々人で判断すべきです」(石原医師)

 1995年に東京大の藤田敏郎教授が公表した研究では、日本人の約20%が食塩感受性の遺伝子を持つが、50%はこの感受性を持たず、食塩を摂っても血圧が上がることはないとされる。つまり、日本人の2人に1人は減塩する必要がないのだ。

 ただし摂り過ぎは禁物である。前出のマクマスター大の研究では、塩分を1日12.5g以上摂取すると死亡率が増加した。

「糖尿病や腎臓疾患、心臓病などを持つ人は減塩を心がけるべきですが、健常者が極端に塩分を減らす必要はありません。世界の最新研究では『1日10g前後がベスト』がコンセンサスであり、健常者は1日10g前後の塩分摂取を心がけてほしい」(石原医師)

 糖質と塩分においては、“適糖”な“塩梅”が必要なようだ。

※週刊ポスト2019年12月20・27日号

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