◆YouTuberは“素人”か
久代アナもYouTuberという職業の印象について「初めはフリーターかな? と思った」と番組で発言している。しかし、久代アナの交際相手は100万人超の登録者がいる人気YouTuberで、一部では年収1000万円超とも報じられている。YouTubeを見ておらず事情を知らない人からすれば、その知名度や人気度がわからず、「ただの素人」と見てしまうのかもしれない。
そう考えれば、テレビ業界の人たちが「人気者になりたい素人がやっている」というイメージを彼らに持ったとしても無理はない。私もかつては「なんで素人の動画を見なきゃいけないの? テレビでいいじゃん」などと言っていた。が、業界を辞めて時間ができた後、試しにYouTubeを視聴したら、どハマりした。YouTuberに先入観や偏見をもっていた自分を反省したものだ。
テレビ界の基準から見れば“素人”のYouTuberだが、その仕事は馬鹿にできない。彼らは自分で企画を考え、小道具を用意し、演出から出演、動画の編集まで行なっている。一部には外部に編集を委託するケースもあるが、ほとんどのYouTuberはゼロから一人で、もしくは仲間と作っている。クオリティーは玉石混淆とも言えるが、動画を1本制作するための労力や時間を考えると、彼らをひとくくりに「ちゃんとしていない」と断じるのは適切ではない。
一方、テレビ番組の制作では、放送作家、各ジャンルのアシスタント、ディレクターやプロデューサー、タレント、音響・技術と様々なプロフェッショナルが関わる。だからこそ、“自分たちはYouTuberとは違い、ある技術に特化したプロだ”との認識が強いのだろう。
では、プロに任せずに作った動画は面白くないかといえば、そんなことはない。放送作家の卵として働いていたことのある私が見ても、企画を考える上での基本を習得していると感じるグループの動画に出会って驚いたことがある。
自分たちがやりたいことをやって、「ウェーイ」とふざけるのではなく、企画として「なぜそのゲームを行なうのか」、「動画にする意味は何か」を明確に提示しているのだ。その企画力は“素人”ではない。動画編集の面においても、緻密に計算されて作られているのが分かる。