SNSを通じたコミュニケーションには依然難しさもある
「19才の女性が、SNSを使った個人間融資詐欺を働いた疑いで、警視庁に逮捕されました。少なくとも、全国の115人の被害者から計200万円以上をだまし取ったのです。女は組織などに属さない“素人”。SNS上で“金を貸す”などと不特定多数に持ちかけ、貸すには保証金が必要などと言って、金を奪ったのです」(大手紙社会部記者)
個人間融資詐欺を働いているのは、反社会的勢力ではない一般人だった。しかもこの事件では未成年の女性だったというのだから驚きだ。
ネット、SNSを使った個人間融資が実行される時、金の移動に用いられるのは、かつてはネットバンクだったが、現在ではギフトカードを使ったやり方が主流となりつつある。このギフトカードは、紙幣の代わりに支払い時にレジで出す全国百貨店共通商品券などのことではない。ネット決済などで利用できるギフト券で、コンビニなどで子供でも購入出来るAmazonギフトカードにGooglePlayカード、WebMoneyなどの電子ギフトカードのことだ。ギフトカードを贈りたい相手には購入したリアルのカードを渡すのが普通だが、仕組みとしては、そのカードに印字されたコードさえ伝われば送金したのと同じことになる。
その手軽さを悪用したのが、しばらく前に日本中で騒ぎになったLINEのっとり事件だろう。友人からいきなり、出先でお金がなくなったからなどの理由をつけて「急ぎでAmazonギフトカードを2万円ぶん買ってきて」「勝ってきたら、コードの部分を写真に撮って送って」というメッセージが送られてきて、面食らった人もいるだろう。なかには、本当にコンビニでギフトカードを購入してカードの裏側を撮影して送ってしまった人もいるかもしれない。しかし送ったが最後、友人になりすました相手に奪われた金は二度と取り返せないのだ。
というのも、振込の記録が残るネットバンキングやなどと違い、電子ギフトカードは現金並みに匿名性が高く、騙し取られた被害者がいざ相手を告発しようとしても、相手の摘発はおろか、特定だけでも大変な労力と時間がかかるのだ。前述した逮捕された少女の供述は、まさにこうした実態を裏付けるものだった。
「実は今年三月ごろ、容疑者自身も個人融資詐欺に騙された被害者だったのです。取られた金を取り返そうと詐欺に手を染め始め、わずか数ヶ月で200万円もの金を集めた。被害者一人当たり一万円とちょっとの計算。はっきり言って、このくらいの額では当局がまともに捜査をしてくれない、決済業者も協力してくれない。そもそも違法な金の貸し借りをしようとしたのではないか、と逆に突っ込まれる。それならば一万円は落としたと思う方が楽なのか、事件になりにくい」(大手紙社会部記者)