もちろんそんなことは承知しています。しかしそのずっと前から相撲人気はなくなっているのです。そのことを私は他ならぬ『週刊ポスト』の二〇〇五年の最初の号の「二〇〇五年はこうなる」で指摘し、私の著書『大相撲新世紀2005-2011』 (PHP新書、二〇一二年)にも収録しています。校閲の人はそれらをノーチェックの上で、デタラメな指摘をしたのです。
ということで、「この一冊」です。それは二〇一九年七月に出た文春新書の『内閣調査室秘録』(志垣民郎著、岸俊光編)です。刊行されてから三カ月以上経って読んだのですが、これは本当に凄い本です。最近の校閲と真逆にあるとても正確な本です。この本に出会えただけで二〇一九年は良かったし、二〇二〇年さらに二一年、二二年と輝きを増して行くでしょう。こういう本に出会えると、やはり、本というものはコンピューターよりもずっと優れたものだと思います。
※週刊ポスト2020年1月3・10日号