そして、学校はあらかじめ避難場所を定め、かつ避難経路及び避難方法を具体的に記載した危機管理マニュアルを作成すべき義務があったのに、これを怠った責任があると判断したのです。さらに学校の危機管理マニュアルの不備の修正を指導しなかった教育委員会の責任も認めました。学校にとっては厳しい判断ですが、小学生たちの保護を考えれば、やむを得ないと思います。
先般の台風・大雨では、急傾斜地として危険区域の指定がない場所での、がけ崩れが多数発生。大川小学校事件が示すように、ハザードマップは概略で一般的なものです。身を護るためには、これらに頼らず、各自の環境に照らして判断する必要があるようです。
刑事事件だと日産ゴーン事件では司法取引もあったようで、私も関心があります。ただ、公判は2020年、判決は相当先になりそうです。
【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2020年1月3・10日号