三木肇・楽天監督も野村氏の教え子の1人(時事通信フォト)
現役選手時代から野球を観察し、勉強してきたかどうかも大きい。私には「外野手出身に名監督はいない」という持論がある。別当薫さんは監督1000勝を挙げながらも優勝経験がないし、最近では若松勉や秋山幸二のように日本一になった監督もいるが、連覇はなかなか難しい。
外野手は試合中に考える場面がほとんどない。打者によって守備位置を変えることくらいだが、それもベンチからの指示が大半。「外野手出身監督は細事小事に目が行き届かない」というのが私の分析だ。似たことは、“お山の大将”になりがちな投手出身監督にも言えるが、配球などで頭を使うぶん、外野手よりは監督の適性がある。
「名選手、名監督に非ず」とも言われる。私もその通りだと思う。特に打のスター選手が監督になると、長打が飛び交う派手な攻撃野球を好む。才能と技術に頼る、荒っぽい野球だ。ハマれば強いが、毎回ハマるはずがない。強いチームにはなっても、常勝チームにはなれない。
また、現役時代に抜群のパフォーマンスを発揮してきた選手は、監督になっても“現役時代の自分”のままで選手を見てしまう。選手と監督では、見るべき目線が異なることを理解しなければならない。
※週刊ポスト2020年1月17・24日号