◆選手やチームが感じるデメリットとは
では、デメリットのほうはどうか。選手にとっては、「セカンドキャリア」の問題が大きい。社員契約なら、選手を引退した後も、その会社に社員として残り、仕事を続けることができる。アスリートのセカンドキャリアの問題は深刻だが、ラグビーの場合、セカンドキャリアが保証されたアスリートという、実は非常に恵まれた環境だとも言える。
プロ化されて、契約期間だけは高年俸になったとしても、引退後の仕事に困るようでは、選手にとってはメリットを上回るデメリットと感じるかもしれない。
ただ、ここは清宮副会長もよく理解している。社員契約のまま「出向」のような形でプロリーグに参加できる仕組みを模索しているらしい。
しかし、そうなると今度は、企業側のデメリットの問題も発生する。ほぼ仕事をせずにラグビーに専念している社員に、引退後、任せられるポストを用意できるだろうか。人気選手であれば、社外的に「会社の顔」となってくれることも期待できるだろうが、みんながみんな、そういう選手とは限らない。親会社の余力次第ということにもなりかねない。
また、デメリットや不安については、どうやら「現状、細部が見えない」という点が大きいらしい。おそらく協会側は「現段階では、大きな枠組みだけ決めておいて、細部はこれから詰める」ということだと思うのだが、企業としては「細部が見ない状態で、賛成か反対かという判断はできない」のだろう。
あとで、稟議書と違うことが決まってしまったら、社内での責任問題にもなりかねないので、企業側(の責任者)としては当然かもしれない。「当初のイメージよりもかなりスローペース」で進まざるをえない最大の要因は、具体的にはこのあたりかもしれない。