そうした話が浮上する理由の一つに、場所前に起きた宮城野部屋の“ケンカ騒動”がある。1月4日、報道陣の前での稽古中、石浦(前頭10)と宝香鵬(幕下16)が殴り合いを繰り広げたのだ。
「宝香鵬にダメ押しされた石浦が腹を立てて膝蹴りし、握りこぶしでの殴り合いになってしまった。宮城野親方が注意してもケンカが続き、白鵬が間に入ってやっと収まった。
実はこの2人は、同じ宮城野部屋所属の力士でも“親方”が違う。宝香鵬は名実ともに宮城野親方の弟子ですが、石浦は白鵬が引退後を見据えてスカウトした内弟子。同学年で入門は宝香鵬が6年早いが、石浦のほうが先に関取になったという点も複雑だし、白鵬は自分の内弟子にばかり熱心にアドバイスするから、“白鵬部屋”の力士のほうが存在感は大きくなる。宮城野部屋の歪な二重構造が明らかになった」(ベテラン記者)
協会は先に手を出した石浦に報酬減額1か月とけん責、宝香鵬にけん責の処分を下した。宮城野親方も報酬減額3か月の処分を受けている。
「ところが、石浦の“師匠”にあたる白鵬にはお咎めなし。これでは宮城野親方に対してあんまりでしょう」(同前)
引退後も一大勢力を築こうと熱心に内弟子をスカウトしてきた白鵬だが、それが軋轢を生んでいるという指摘だ。
※週刊ポスト2020年1月31日号