ライフ

墨田区吾妻橋で30年ぶりに復活した家族のような店で角打ち

江戸時代は造り酒屋、明治16年から酒を販売。家族のような温かさで肩ひじ張らずに飲める下町の老舗だ

 隅田川にかかる朱色の橋を渡ればすぐ浅草という下町、本所吾妻橋にある老舗『明治屋酒店』は、一昨年30年ぶりに角打ちを復活。

 江戸時代は造り酒屋として、明治16年からはお酒の小売りをはじめ、角打ちは下町の酔客に親しまれてきた。

「あたし永遠の二十歳よ」と笑い、「昔は、升に焼酎注いでコップに開けて、梅シロップをちょいとたらして。ちっちゃい体で一升瓶持ってさぁ。氷もない時代の話よ」と軽快に語る気風のいい福田美加さんが切り盛りする。美加さんは、ちゃきちゃきの下町育ち、幼いころから角打ちの風景を見つめてきた。

 長年封印していた角打ちだが、2018年に店を改装して際に復活させた。時を経てよみがえった角打ちには、この日もひっきりなしに客が訪れる。

「1周年記念には、1人3杯まで1杯100円で飲めるイベントを開催したところ好評で大行列だったのよ」と美加さん。服を着替えてまた並ぶ客もいたとか。

「昔はガラの悪いお客さんも多かったけど、いまじゃあタクシーで乗り付ける人もいて、時代も変わったよね」と語る。

「ママ(美加さん)とお兄さんとお嫁さんでやっていて、家族的でピース。温かく迎えてくれるんですよね。常連客も手伝って皆で支え合っている。アットホームで肩ひじ張らずに飲める店」(40代、自営業)

「ママの人柄がいいからみんなが集まってくる。ずっと地元にいて引っ越しちゃったのにまだ通っている(笑い)。酒は安いしつまみもウマい。ピリッと辛いこの帆立のチャンジャが好きだね」(50代、ビル管理)

 奥の酒屋とはアコーディオンカーテンで仕切られている角打ちスペースは、壁の両側にテーブルが設えてある。すれ違うのがやっとといううなぎの寝床なのだが、ひじが触れ合う距離で飲む常連客は、いつしかお花見やボーリングに連れ立つほどの仲に。

「ここに来れば誰かしら知り合いがいるからホッとしますね。女1人でも入りやすいんです。女ばかりでママと閉店間際まで飲んでいることもあります」(40代、建設業)

 明るい美加さんを中心に客たちが家族のような一体感を醸し出す。

関連記事

トピックス

サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
皇室に関する悪質なショート動画が拡散 悠仁さまについての陰謀論、佳子さまのAI生成動画…相次ぐデマ投稿 宮内庁は新たな広報室長を起用し、毅然とした対応へ
女性セブン
定年後はどうする?(写真は番組ホームページより)
「マスメディアの“本音”が集約されているよね」フィフィ氏、玉川徹氏の「SNSのショート動画を見て投票している」発言に“違和感”【参院選を終えて】
NEWSポストセブン
スカウトは学校教員の“業務”に(時事通信フォト)
《“勧誘”は“業務”》高校野球の最新潮流「スカウト担当教員」という仕事 授業を受け持ちつつ“逸材”を求めて全国を奔走
週刊ポスト
「新証言」から浮かび上がったのは、山下容疑者の”壮絶な殺意”だった
【壮絶な目撃証言】「ナイフでトドメを…」「血だらけの女の子の隣でタバコを吸った」山下市郎容疑者が見せた”執拗な殺意“《浜松市・ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
連続強盗の指示役とみられる今村磨人(左)、藤田聖也(右)両容疑者。移送前、フィリピン・マニラ首都圏のビクタン収容所[フィリピン法務省提供](AFP=時事)
【体にホチキスを刺し、金のありかを吐かせる…】ルフィ事件・小島智信被告の裁判で明かされた「カネを持ち逃げした構成員」への恐怖の拷問
NEWSポストセブン
2人は互いの楽曲や演技に刺激をもらっている
羽生結弦、Mrs. GREEN APPLE大森元貴との深い共鳴 絶対王者に刺さった“孤独に寄り添う歌詞” 互いに楽曲や演技で刺激を受け合う関係に
女性セブン
「情報商材ビジネス」のNGフレーズとは…(elutas/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」は“訴えれば勝てる可能性が高い”と思った》 「情報商材ビジネス」のNGフレーズは「絶対成功する」「3日で誰でもできる」
NEWSポストセブン
入団テストを経て巨人と支配下選手契約を結んだ乙坂智
元DeNA・乙坂智“マルチお持ち帰り”報道から4年…巨人入りまでの厳しい“武者修行”、「収入は命に直結する」と目の前の1試合を命がけで戦ったベネズエラ時代
週刊ポスト
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
小室眞子さん“暴露や私生活の切り売りをビジネスにしない”質素な生活に米メディアが注目 親の威光に頼らず自分の道を進む姿が称賛される
女性セブン
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
パリの歴史ある森で衝撃的な光景に遭遇した__
《パリ「ブローニュの森」の非合法売買春の実態》「この森には危険がたくさんある」南米出身のエレナ(仮名)が明かす安すぎる値段「オーラルは20ユーロ(約3400円)」
NEWSポストセブン