学歴を偽った疑いがあると指摘されていた静岡県伊東市の田久保真紀市長(共同通信/HPより)
静岡県伊東市・田久保真紀市長に巻き起こった学歴詐称疑惑。市長就任直後、6月に発行された市の広報誌に「平成4年東洋大学法学部卒業」と記載されていたが、市議会から学歴を偽った疑いがあると指摘されていた。ところが7月2日、東洋大学から除籍されていたことが明らかに。市長は「大学卒業の経歴は選挙中、自ら公表していないので公職選挙法上は問題ない」などとコメントしていた。
これを受けて市議会の中島弘道議長は「卒業証書だとする書類」を“チラ見せ”されたことがあると主張。「私どもに見せた卒業証書が偽物だとわかった。伊東市全体を混乱させたということで、議会としてはしっかり責任を取ってもらいたい」とした。
その後、設置された百条委員会は“卒業証書”とされる資料を7月18日16時までに提出するように市長に求めていた。そんな彼女がNEWSポストセブンの記者に“言い分”を話したのは、この期限から約18時間後のことだった──。【前後編の前編】
田久保市長は18日、提出期限の15分ほど前に市議会の中島議長などと面会。彼女が議長に差し出した資料は“証書”ではなく回答書だった。百条委員会は強い権限を持ち、正当な理由がなく提出を拒んだ場合は6か月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金に科せられる可能性がある。大手紙政治部記者が話す。
「“記録提出請求に対する回答書”と題した資料には、『証書とされている書類につきましては、その提出を拒否します』とはっきり書かれていた。その理由として7日、市内の建設会社社長に公職選挙法違反の疑いがあるとして刑事告訴されたことを挙げ、訴追の可能性があることから提出できないとしている。
その後の記者会見では『検察と百条委員会、両方とも(資料を)提出すればいいのでは』という質問もありましたが、田久保市長は『事態が少し変わりまして、刑事告発された際の重要な証拠になるであろうということで、弁護士の方が保管をしている』と弁明するにとどまった」
7月7日に行われた緊急会見で田久保市長は「(私が議長や市の職員に見せた)卒業証書はいまでも本物だと思っています」と述べていた。SNS上では〈本物なら見せたらいい〉〈ネットに証書をあげれば一発〉など“ツッコミ”が多発したが、百条委員会の要請をもってしても、市長が“証書”を表に出す意思はないようだ。回答書の中でも弁護士の“供述拒否権”や“押収拒絶権”などの法律用語が並べられ、自身の同意なしに資料類を表に出すことはないとけん制している。
一方で「百条委員会をないがしろにするつもりはない」(18日記者会見)とも話している市長。一連の問題の責任からすでに辞意も表明しているが、議会の追及は止まない。
泥沼化する学歴詐称疑惑だが、市長本人は取り立てて動揺する様子もない。19日午前にNEWSポストセブンの記者が自宅を訪れると、およそ1時間にわたり淡々と取材に応じた。田久保市長が語る。