トヨタ自動車も今夏、自動運転車を使った一般向けの同乗試験を行う予定
◆クリアすべきハードルは「技術」と「法律」
レベル3の実用化には、技術的に非常に高いシステムの信頼性が求められます。人が監視していないときにパーフェクトに安全に走らなくてはなりません。また、問題が発生してシステムがギブアップしたときに、人間のドライバーへの運転操作の受け渡しも、意外と難しいことが分かっています。
そこに必要なのは時間です。例えばシステムのギブアップから1秒以内というように、運転操作の受け渡しの猶予が短いと、運転手は常に交代の準備していなくてはならなくなり、自動運転レベル3のメリットが少なくなります。しかし、あまりにノンビリと交代していては、突発的な問題に対応できなくなります。どんな状況においても、余裕ある交代時間を生み出すには、懐の深い技術が必要です。そうしたところまで技術を高めるのが難しいのです。
また、法的な問題も存在します。それはシステムによる走行中に発生した交通事故や交通違反は、誰が責任を取るのかという問題です。これまでの法律には、システムによる自動運転が想定されていませんでした。そのため、人間の手を介さないシステムだけによる走行があるレベル3は、実際の街中を走ることが禁じられていたのです。
ところが、昨年の道路交通法改正により、その問題が解決されることになりました。「自動運行装置を使用する場合も道路交通法上の“運転”に含まれる」となったのです。つまり、自動運行装置というシステムを使って、ドライバーが運転しているという見解です。これにより、システムによるレベル3での走行での事故や違反も、ドライバーによる運転の一部となります。
また、システムに任せる前提条件も定められ、それを守らないと罰則も用意されました。事実上、この法改正は自動運転レベル3を実現させるためのもので、「自動車の自動運転技術の実用化に対応するための規定の整備」と呼ばれています。昨年に改正され、施行は2020年5月までとなっています。
この改正によりレベル3実用化に向けて、法律的なハードルはクリアされることになります。あとは技術だけ。そうとなれば、果敢に挑戦するメーカーも存在することでしょう。夏ごろにはいくつかのメーカーから、レベル3を実装した量産車が登場するという噂も耳にするようになっています。