アウディの自動運転イメージ

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◆レベル3実用化で予想されるメリット・デメリット

 では、レベル3が実用化すると、いったいどんなメリットがあるのでしょうか。また、デメリットはないのでしょうか。

 想定されるメリットでいえば、高速道路の移動が非常に楽になることです。緊急時に運転を代わる必要があるので、寝たり、飲酒することはできませんが、それでもモニター画面を注視したり電話を行うことも可能となります。遠出が楽しくなるだけでなく、仕事の忙しい人にも助かることでしょう。

 また、概ね人の運転よりもシステムの運転のほうがミスは少ないため、交通事故の減少も期待されます。ドライブが楽になり、さらに安全性も高まるのです。

 一方、デメリットもあります。まず、クルマの価格は確実にアップします。高度な技術ですから、当然、コストがかかります。機能が搭載されるクルマも最初のうちは高額なモデルが中心になるでしょう。いつかはコストダウンが進み、大衆車やエントリーカーにも搭載されるかもしれませんが、当分の間は、お金持ちだけの特権的な技術になるはずです。

 また、システムは法定速度を厳守します。これが意外な問題を生むかもしれません。なぜなら、リアルワールドの道は、法定速度以上で流れていることがあるからです。東京の首都高速道路は、制限速度が高くても80km/hで、環状線は50km/h、カーブのきついところでは40km/hというところもあります。ところが、その速度を守っている人は少数派というのが現実です。

 そうした流れの中で、頑固に制限速度を守るレベル3のクルマが登場すれば、それを邪魔に思う人もいることでしょう。レベル3のクルマが当たり前になるまで、少々、ギクシャクすることもあるかもしれません。

 また、レベル3を利用する人も配慮が必要です。たとえば、高速道路の追い越し車線を延々と走ることはやめましょう。そもそも追い越し車線をずっと走り続けることは交通違反であり、非常に迷惑な行為です。ですから、利用する人も、周りの人もレベル3を受け入れるための理解が必要になることでしょう。

 そして、どんな技術も最初から完璧な出来ということは期待できません。自動運転技術も同様ですから、過信は禁物です。もしかするとシステムでの走行時に、突発的にエラーが発生するかもしれません。“絶対に大丈夫”と過信することは事故のもとになります。慎重に利用すべきです。

 とはいえ、クルマの自動化の流れは、世界の大きな潮流のひとつ。この先もどんどん進みます。それがレベル3の実用化によって、大きく前進するのが2020年です。10年後、20年後に過去を振り返ったとき、“2020年は自動運転の節目の年になった”と言われることでしょう。

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