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2020.02.08 16:00  週刊ポスト

柳家小三治 年代ごとの変化と変幻自在の台詞回しを堪能

「IV」は2010年収録の『厩火事』『品川心中』の2席。目玉は『品川心中』で、小三治が『品川心中』を演じたのは十数年ぶりのこと。初の商品化だ。この噺、志ん朝や談志は志ん生演出を受け継いでいるが、小三治は圓生の型が基盤。お染に仕返しする後半は演らず、親分宅での「腰が抜けております」でサゲている。

「これは私にとって人情噺」と言う小三治十八番『厩火事』は1986年の口演がCDで、1996年の口演がDVDで発売されており、これが三度目の商品化。70歳の小三治ならではの変幻自在の台詞回しが堪能できる。

「V」と「VI」は落語ではなく2002年7月に行なわれた「ま・く・ら独演会」で収録された随談で、「V」は「私の時代の歌」の話から切ない初恋の思い出へと至る『あの人とっても困るのよ』。「VI」は今はなき寄席の老舗「人形町末広」の話題から、この口演の2か月前に亡くなった師匠小さん、前年亡くなった志ん朝との思い出へと広がる『人形町末広の思い出』。どちらも「マクラの小三治」本領発揮、聴き応え満点だ。

 どれも僕が商品化を熱望していた音源ばかり。小三治ファンの心を鷲掴みにする、最高の贈り物である。

●ひろせ・かずお/1960年生まれ。東京大学工学部卒。音楽誌『BURRN!』編集長。1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接している。『現代落語の基礎知識』『噺家のはなし』『噺は生きている』など著書多数。

※週刊ポスト2020年2月14日号

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