駒場は、外国政府の寄付講座を東大で初めて受け入れ、留学生の一部授業の英語化を実現した学部であり、国際化に後ろ向きではない。二月にモロッコで会ったフランス人たちは駒場の一現場教員が編纂した『中世フランス語辞典』の高い業績を激賞していた。
人文系学問が東大でも生き延びるには、もっと英語はじめ外国語で論文と書物を著し、理系と同じく業績評価が外にも分かるようにすることだ。「文系学部廃止論」をはねかえすには、教員が業績で“意識の高いヤツ”になるのも必要条件だが、この視点は今回の本の目的ではないのだろう。著者の議論の続きを期待させる新書である。
※週刊ポスト2020年2月14日号