更年期をどう乗り切るか、老年期をどう生き抜くか、自身の体験を踏まえてアドバイスを送る

──この本は「青春期」「中年期」「老年期」に分かれ、それぞれの時期にクリアすべき課題が示されています。最後、「孤独死」にまで触れています。

藤森:30代、40代でも孤独死が怖いと言う人がいますが、私は、孤独死自体は問題ないと思っています。一人でも幸福感に満ちて息を引き取る人もいるでしょうし、家族に囲まれていたって、幸せとは限りません。ただ、死体の発見については考えておいたほうがいいと思っています。死体は腐敗しますから、できれば死後数日以内に発見してもらいたい。そのために、たとえ隣人や友人がいなくてもできることを、知っておく必要があります。

―─ご自身の人生については、更年期や仕事で危機に陥っていたときに、“ティー・パーティの女神”とも言われるアメリカの作家、アイン・ランドの本に出会い、そこから人生が開けたと。

藤森:アメリカの大学は概ねリベラルですから、ニューヨークにいた時にアイン・ランドを訳したいと言ったら「あなたは道を間違っている!」と非難されました。が、私には面白かったし、アメリカを理解するために重要な作家だと思ったんです。ただ、彼女の本に出会って人生が開けたというより、それを機に、政治や経済の本を読むようになって変わったんですね。私の人生、48歳から始まった感じです。そういう人生もあるのです。

──そして、馬鹿ブス貧乏の強みが発揮されるのは「老年期」からと書かれています。

藤森:年をとれば誰だってブスになりますからね(笑)。私は、年をとったからこそ、とんでもないことを考えたほうがいいと思っています。実現できると思っていればできる。実際、本を書きたいなと思っていたら書けました。世の中には頭のいい人がたくさんいて、そういう方は、大きなことを着々と実現されています。私のような人間が望むことなんて、たかがしれているから、実現するんですよ。

【PROFILE】ふじもり・かよこ/1953年愛知県名古屋市生まれ。南山大学大学院文学研究科英米文学専攻博士課程満期退学。福山市立大学名誉教授で元桃山学院大学教授。アメリカの国民的作家であり思想家のアイン・ランド研究の第一人者。訳書に『水源』『利己主義という気概』ほか。

●撮影(1枚目)/永井抱陽写真館 永井秀和

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