──藤森さんご自身の仕事人生はいかがでしたか? 男性社会でのご苦労などは?
藤森:毎日やめたいと思っていました(笑)。そもそも教師になりたくてなったわけではないんです。当時は、とくに地方は、女性は25歳定年が普通で、続けられる仕事は教師くらいだとうと思って選んだだけなので。でもはやり、働かないと分からないことはたくさんありました。
男性社会のことで言えば、例えば人事で、業績のある人より、ない人が選ばれる場面などをいくつも目の当たりにしました。自分を凌駕しそうな優秀な人材を、とりわけ優秀な女性を嫌う、小さいおっさんがいましたね。でもそのおかげで、私のような人間が生き延びられた面もあるのかなとは思います。
いずれにしろ、おっさんに媚を売らなくても、付き合いが悪くても、私のように食べてはいけます。一方で、枕営業をする女の人がいたとしても、愛人を出世させる男がいたとしても、私は何とも思いません。皆、自分のやりたいようにやればいい。若い時は、ちやほやされている美人に嫉妬することがあるかもしれませんが、そういう時、本屋に行ってたくさんの本を目にすれば、自分には嫉妬している暇はないと気づくはずです。
■「孤独死」よりも問題なこと
──あまり語られない女性の「性欲」についても、真正面からテーマにされています。
藤森:すごく大事な問題だと思うんです。性欲って生命力ですからね。女性は男性に、大きく三つのことを求めると思うんです。第一に、運命共同体を形成し、維持する生活のパートナー。第二に、性欲を満たしてくれる相手。第三が、知的な刺激を与えてくれる人。この三つを、一人の男性が満たしてくれればいいのですが、現実は難しいですよね……。ではどうするかを私なりに考えました。
──結婚相手に求める条件には「国語能力」を挙げています。
藤森:言葉を持っていない人は自己分析もできません。そして結婚は長いから、続けていくにはコミュニケーション能力が必要です。結婚に限らず、人生はコミュニケーションですよね。友人をたくさん作る必要はありませんが、誰しも一人で生きているわけではないし、まして死んだ後には、孤独死であっても、誰かにお世話にならなければいけないんです。