自宅でくつろぐ50代のふたり
そして、沙知代夫人の死をきっかけに、自らの最期にも思いをはせるようになったと話していた。
「最近は、死について考えているよ。楽に逝きたいな……と。みんな思うことだよね。苦しまずに逝きたい。そう意味じゃ(沙知代は)最高だよね。まったく苦しむことはなかった」
取材中には、「男は弱い。妻を亡くして初めてわかることが多い。やっぱり男は奥さんより先に逝った方がいいよ」と繰り返していた。
2018年12月、田原総一朗氏と対談
同じく夫人に先立たれたジャーナリスト・田原総一朗氏との対談(2019年1月1・4日号)では、「サッチーが死んでから、明日は我が身と考えるようにもなりました。とはいえ、私淑する川上哲治さんが亡くなった93歳を目標にしたいとは思っています」と話していたが、84歳で沙知代夫人の側へと旅立った。
名捕手として、名監督として、そして自らの弱さを隠そうとしない一人の人間として、多くの人に愛される野球人だった。
■取材・文/鵜飼克郎