「大事なのは被害者のためのスポークスマン=代弁者が必要だということ。例えば、弁護士は適任でしょう。今の日本で問題なのは、被害者情報を警察が一括で掌握していることです。
欧米諸国は違います。例えばアメリカでは、国の予算で被害者を支援する民間の組織があります。多くの州の警察署内に“支援者の部屋”があって、事件が起きると警察官とともに現場に臨場し、被害者に寄り添い、支援します。支援者は警察に対して文句や注文もつけますし、スポークスマンの役割を果たしています。
日本にはそういう制度はありません。警察組織の中に被害者支援要員をつくり、警察官がその役割を担っていますが、あくまで警察官ですから代弁者にはなり得ません。また、被害者支援センターというものが各都道府県にありますが、被害者からの信頼が非常に低く、期待するような働きにはなっていません。
欧米の被害者支援センターのスタッフは、半分以上が元被害者です。事件や事故から生活を取り戻す力になりたいと支援を買って出た人ですから、被害に遭った人の気持ちがよくわかる。その点、日本の被害者支援センターは、センターの方針によるのでしょうが、元被害者はほとんどいません。被害者のなんたるかを知識として知っていても、実際には不満の声が続出しています。日本における被害者支援センターが欧米のそれのように、すぐに被害者に寄り添うスポークスマン足り得れば、いくつかの課題は解消される可能性はあると思います」
※女性セブン2020年2月20日号