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2020.02.15 07:00  週刊ポスト

中村梅雀の言葉「完璧に戦い抜いた時、やっと評価されました」

 父・中村梅之助は『遠山の金さん捕物帳』『伝七捕物帳』といったテレビシリーズやNHK大河ドラマ『花神』(七七年)に主演した、時代劇スターだ。

「死ぬまで相容れない父子でした。芝居の話になると、同じ解釈をしても表現が違うんです。すると『なんでお前はそうやるんだ。そうじゃないだろう。どう考えてるんだ!』とくる。僕が説明すると『お前は違っている』『できてない』って。

 僕が梅之助の完璧コピーをすれば梅之助は満足するんですけど、それは僕の満足ではないんですよね。梅之助を演じているだけなので。

 たとえば、梅之助が当たり役だった芝居を梅雀が継いでやることになった時、梅之助もお守りとして脇に出てくる。すると『違う』と干渉し続けるんです。でも、梅之助のコピーなら梅雀がやる意味はないと思っていたので、徹底抗戦しました。

 中村梅之助の根本はスターなんです。スター芝居。金さんであり、伝七であり、全て中村梅之助ブランド。その役を演じているのではなく、《役をやっている中村梅之助》なんですよね。

 ですから、脚本家は梅之助用に書いていますし、梅之助もやりたいように直します。そうした梅之助用に書かれた台本を梅雀用に変えていかなきゃいけないと気づきました。そうしないと太刀打ちできないし、やっていて気持ち悪い。『このセリフ回し、梅之助だよな。この役そのものではない』って。戦いました。完璧に戦い抜いた時、やっと評価されました」

●かすが・たいち/1977年、東京都生まれ。主な著書に『天才 勝新太郎』『鬼才 五社英雄の生涯』(ともに文藝春秋)、『なぜ時代劇は滅びるのか』(新潮社)など。本連載をまとめた『すべての道は役者に通ず』(小学館)が発売中。

■撮影/黒石あみ

※週刊ポスト2020年2月21日号

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