ビジネス

「小心者」が40億円の借金完済、 幸せな経営者になれた理由

湯澤剛氏は自他共に認めるHSPだった

 変わらず企業の破綻が続き、スタートアップのほとんどが5年もたないと言われる日本。その理由はさまざまながら、最近は経営者自身の「やりぬく力」が不足しているのではないか、というビジネスリーダーたちも多い。ビジネスを始めれば、日々問題が起きてくる。それを解決し、すべてが不可能に見えるときでさえ、その先の一手を見据える力が重要だ。まさにそんな経験をした経営者がいる。一会社員であった彼に、ある日突然降りかかった巨大な責任と40億円の負債。この信じがたいストーリーを新刊『小心者のままでいい 「臆病」「過敏」を強みに変える25の方法』(小学館)という著書にまとめた湯澤剛さんに聞いた。

 * * *
 居酒屋を複数経営していた父が急逝したとき、私はビール会社に勤めるサラリーマンでした。長男でありながら、父の跡を継ぐ気はハナからまったくなく、当然経営状況もまったく知りませんでした。他に人がいないという理由で渋々帳簿を見せられ、絶句しました。会社の負債は40億円を超えていたのです。

 葬儀後メガバンクの人たちがやってくるようになり、事情もまったく知らない私に「いつ返済していただけますか?」と迫ります。それ以外にも毎日大量の請求書が届き、あちこちに「申し訳ありません、できるだけ早くお支払いします」と頭を下げる日々が続きました。

 経営する居酒屋では板前が店もあけずに麻雀をしていたり、たばこを吸いながら寿司を握っている様子を見て絶望しました。

 でも、私は子どものころから自他ともに認める「小心者」。最近では「HSP(ハイリ―・センシティブ・パーソン)」とも呼ばれるようになった、先天的に過敏で繊細な特質を持つタイプの人間です。荒くれ者のように見えた板前たちに正面きって意見することもできませんでした。

 そうこうするうちに、追い打ちをかけるように、店舗火災、食中毒事件などが立て続けに起き、私は心身共に立ち上がれない状態に陥りました。もう、無理かも知れない。何のために生きているかさえもわからない……。そんな思いに押しつぶされそうになっていたとき、ある事件をきっかけに、「これ以上落ちることがないなら、できることから始めてみよう」と意識の転換が起きました。

 それからは、自分の特性から冷静に強みを分析するようになりました。「小心者」は、【1】リスク分析に優れ、【2】人の気持ちを察することに優れ、【3】細心なので判断に誤りにくく、【4】まじめで調子に乗らない、という強みを持っています。

 この強みを経営に活かしていくため、「自分の感情のモニタリング」「最悪の想定を可視化」「問題の細分化&タスク化」など、25のツール・思考法を練り上げました。

 こうして自分の特性を受け入れてからは、こつこつと日々大小の問題解決に励みました。結果16年間で40億円を完済し、今では「小心者だからこそ、この巨大な逆境に打ち克つことができた」と話せるようになりました。

関連記事

トピックス

11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さんが今も築地本願寺を訪れる理由とは…?(事務所提供)
《笑福亭笑瓶さんの月命日に今も必ず墓参り》俳優・山口良一(70)が2年半、毎月22日に築地本願寺で眠る亡き親友に手を合わせる理由
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン