「この味、買い占めたい」と常連客を虜にするキンキンに冷えた焼酎ハイボール
「仕事帰りに寄れる大切な場所だから、長く繁盛してもらわないと」と週5で通う客が同僚を次々と連れてきたおかげで、角打ちは連日大賑わいだという。
「俺とお父さん(店主)は同い年で誕生日も一緒なの、驚いたよ」と言って店主に歩み寄り、「ほら、証拠」と店主と自分の免許証を見せてくれた客は、「ご縁を感じるよね。いいお父さんなのよ、家族みんなが温和でさぁ。ここは俺たちの憩いの場だね」(60代販売業)とご機嫌だ。
「私は地方出身なんですが、よそ者扱いされることなく、いつもやさしく迎えてくれる。お父さんの懐が深いんですよ。来るたびに元気をもらっています」(40代、大学勤務)
今宵、この店に集う客たちが仲間同志で独自に作った角打ち流儀を教えてくれた。仲間で訪れると、まず“入場料”だという1000円札を1枚紙皿へ。そこから酒やつまみを買うのがルールなのだとか。この日、紙皿にはすでに小銭しか残っていなかった。
つまみは乾き物だけ。さきいか、ピーナツを袋から無造作に出してそのまま食べる人、紙皿に開ける人、楽しみ方は人それぞれだ。
この店に愛情を注ぐほろ酔い客が、もう一つ愛して止まないのが焼酎ハイボールだ。
「この味、買い占めたいくらい気に入りました」(40代、大学勤務)と話しながら、大きな店の冷蔵庫の段いっぱいに並ぶ焼酎ハイボール缶の1本を手にし、プッシュと飲み口を開ける姿を見て、負けじとばかりに隣の客も、もう1本。
「すっきりした辛口が、江戸の粋が詰まったこの街に似合うよね。缶に描かれた昭和レトロな風景がなんともいえない味がある。今宵の決まり手はこれ」(50代、営業)