◆「この傷は誰がつけたのだろうか」という生々しさ

 しかし、輝く宝石もブランドバッグも、美しいし唯一無二の価値を持つ。なぜ「刀」なのか。前出の『名刀大全』を担当した小学館の高橋進さんは美しさと並ぶもう1つの魅力を、「生々しい歴史を体感できること」だと話す。

「刀には必ず持ち主がいる。どういう人が持って、どういうふうに使われてきたかの来歴は、刀の大きな魅力です。

 教科書に出てくる偉人が肌身離さず持っていた刀を実際に目にしたら、“あの人が持っていた刀を私はいま見ているのか”と歴史が急にリアルなものになり、生々しく感じられるはずです。

 さらに刀に残った傷からは、作りものではない歴史のうねりやドラマを感じられる。鑑賞用の陶器や掛け軸などと異なり、刀は実際に持ち主が命を懸けて使うものなので、迫力が違うのです」

 かまたさんも美しさとともに刀が持つ歴史的背景にも魅了されたと語る。

「刀は生まれた時代、歴史、どの武将や大名に持ち主が変わったのかなどの情報量がすごく多い。ひとつの刀なのに名前が変わっていくこともあるし、刀工についてもいろんな歴史があります。そうした物語を知るのも楽しいですね。

 男性は刀そのものをコレクションとして集めることで満足できるのかもしれませんが、女性のハマり方は背景の歴史は物語も含めた“推し”なんです。刀ひとつに込められたドラマを楽しんで、アイドルを愛でるようにハマるんです」

※女性セブン2020年3月12日号

 

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