国内

新型コロナ対応に追われる今こそ、3.11の教訓が問われている

震災後、津波に襲われた街を追悼行脚する僧侶と牧師(2011年4月28日、宮城県南三陸町/写真提供:金田諦應)

 新型コロナウイルスの対応が正念場を迎えている。企業はテレワークを推進し、観光地は閉鎖され、各種イベントは自粛されている。その影響は、地域の自治会や町内会などの小さな会合にまで及んでいる。こんなことが続くと、あたかも実際に人と会うことがリスクであるような錯覚に陥ってしまう。今年で丸9年を迎える東日本大震災とも合わせ、今一度、顔を突き合わせるコミュニケーションの重要性に目を向けてみたい。

 東日本大震災の後、被災者の心の様子を定点観測し続けた人がいる。震災発生の2か月後から、ボランティアで移動式の傾聴喫茶「カフェ・デ・モンク」を始めた、金田諦應(かねた・たいおう)通大寺住職(宮城県栗原市)だ。「傾聴」とは、相手の話に真摯に耳を傾け、共感しながら聴く技術のことを指す。

 この9年間で金田さんが訪れた被災地は44か所、開催回数は370回を超えた。色とりどりのケーキとドリップコーヒーを無料で振る舞う。この間の被災者たちの歩みは、金田さんにはどう見えているのだろうか。

「仮設住宅に入ってからの被災者は、『一日も早くここを出て、元の生活を取り戻す』という目的で一致していたけれど、復興住宅に移ってからはそれがなくなり、問題が個別になってきました。

 震災というのは、あいまいにしていたものを否応なくはっきりさせられた出来事でした。たとえば、男女の話で、いいところまで行っていた二人が決断を迫られる。結婚した人もいれば、別れた人もいる。生々しく決断を求めてくる。それが震災なんです」

 その他にも住宅のこと、土地の権利のこと、お金のこと、家族との関係など、問題が多様になっている。背負っているものがそれぞれ違うし、時間が経ったからといって必ずしも苦しみが軽くなるわけではない。

関連記事

トピックス

令和6年度 各種団体の主な要望と回答【要約版】
【自民党・内部報告書入手】業界に補助金バラ撒き、税制優遇のオンパレード 「国民から召し上げたカネを業界に配っている」と荻原博子氏
週刊ポスト
なかやまきんに君が参加した“謎の妖怪セミナー”とは…
なかやまきんに君が通う“謎の妖怪セミナー”の仰天内容〈悪いことは妖怪のせい〉〈サントリー製品はすべて妖怪〉出演したサントリーのウェブCMは大丈夫か
週刊ポスト
常に全力笑顔の林家つる子
《抜擢で真打ち昇進》林家つる子、コロナ禍でYouTubeに挑戦し「揺るがない何かができた」 サービス精神旺盛な初代・林家三平一門の系譜
週刊ポスト
グラビアから女優までこなすマルチタレントとして一世を風靡した安田美沙子(本人インスタグラム)
《過去に独立トラブルの安田美沙子》前事務所ホームページから「訴訟が係属中」メッセージが3年ぶりに削除されていた【双方を直撃】
NEWSポストセブン
エンゼルス時代、チームメートとのコミュニケーションのためポーカーに参加していたことも(写真/AFP=時事)
《水原一平容疑者「違法賭博の入り口」だったのか》大谷翔平も参加していたエンゼルス“ベンチ裏ポーカー”の実態 「大谷はビギナーズラックで勝っていた」
週刊ポスト
阿部詩は過度に着飾らず、“自分らしさ”を表現する服装が上手との見方も(本人のインスタグラムより)
柔道・阿部詩、メディア露出が増えてファッションへの意識が変化 インスタのフォロワー30万人超えで「モデルでも金」に期待
週刊ポスト
中条きよし氏、トラブルの真相は?(時事通信フォト)
【スクープ全文公開】中条きよし参院議員が“闇金顔負け”の年利60%の高利貸し、出資法違反の重大疑惑 直撃には「貸しましたよ。もちろん」
週刊ポスト
店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
大の里
新三役・大の里を待つ試練 元・嘉風の中村親方独立で懸念される「監視の目がなくなる問題」
NEWSポストセブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン