写真家の小野寺宏友氏は、東京の片隅にけなげに咲く桜を「野良桜(のらざくら)」と命名。2013年から深夜に撮影を始め、桜の咲く環境によって桜を分類し、ユニークな“学名”をつけている。
「大勢の人が訪れる花見の名所は、言わばファンがたくさんいる売れっ子アイドル。一方、野良桜は地元のアイドルです。1本で寂しげに見えますが、それぞれの魅力があって、誰かが楽しんでくれるのを待っている。ぜひ、近所の野良桜を発見してほしいです」
この春は静かに、ポツンと佇む桜を愛でてみてはいかがだろうか。
小野寺氏が命名した学名とともに、都内の代表的な野良桜7本とその「学名」を紹介する。
【1】ケッカイザクラ系(品川区)
神社などの神聖な敷地に咲く。「遅咲きの桜。少し見つけづらく、建物間の細道を入った奥に生えています」(小野寺氏、以下同)
住所:東京都品川区大崎2-7 明力稲荷大明神
撮影:2017月4月4日
学名:カクレホソミチケッカイオオザクラ
【2】テイボウワキ系(中央区)
堤防の脇に咲く。「1964年まで運行していた隅田川の渡し船『佃の渡し』が発着した跡地にひっそりと佇んでいます」
住所:東京都中央区湊3-18 佃島渡船場跡
撮影:2017年4月11日
学名:ツクダノワタシミマモリオオモフリッパザクラ
【3】オウライワキ系(世田谷区)
人が往来する道路の脇に咲く。「横から見るとわかりますが、歩道橋の邪魔にならないように歩道橋側が剪定されています」
住所:東京都世田谷区桜丘5-19 笹原横断歩道橋脇
撮影:2014年3月31日
学名:ミチギワカタヨリセイチョウノラザクラ
【4】コウカシタ系(板橋区)
高架下で咲く。「交差点の分離帯にあるので、旧中山道仲宿の史跡案内がある花壇側から眺めるのが最適です」
住所:東京都板橋区板橋2-67 「みどりの一里塚」仲宿付近
撮影:2018年3月26日
学名:コウカシタダレモヨレナイシュクバザクラ